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2008/12/28

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教育を第一に掲げる図書館:ウェスト・ブルームフィルド公共図書館現地レポート

デトロイトの西の郊外に広がるウェスト・ブルームフィルドというタウンシップにある公共図書館に来ました。この図書館は1934年にKeego Cass Women's Clubという公共心あふれる女性グループの手によってはじめられた図書館で、その後1937年からタウンシップによって運営されています。市民の図書館税を運営資金として運営を続け、1984年に開館した現在の建物も苦境を乗り越えて図書館税の承認を得、建設にいたりました。現在もその伝統を引き継ぎ、潤沢な資金に支えられた図書館として充実したサービスを提供しています。

詳細はこちらから。

West Bloomfield Township Public Library
http://www.wblib.org/



撮影の許可をもらう


図書館での撮影は、いつも気を使っていて、アポなしの図書館見学のときは必ずインフォメーションカウンターで撮影の可否について確認するようにしています。持ち歩いているのがキャノンの一眼レフなので、こそこそ隠れてとれるものでもないですし、またこそこそとったところで資料としてはまったく使えない写真になってしまうので、館に入って空気を掴んだら、まずは撮影許可を念押しにいただくようにしています。これをすると安心してどうどう写真撮影ができます。

館のポリシーをしっかり把握しているやり手とおもわれるライブラリアンの人を探して確認することが鉄則で、この会話のときに自分の立場を明かしたりして、親切な人であればいろいろなパンフレットやらイベントカレンダーやらをいただきます。最初のころはおっかなびっくりでしたが、米国の図書館員さんはたいてい親切に「撮影はOK」といってくれます。時にはそれに続いて、「人(特に顔)が入り込まないように気をつけて」とか、「児童室はそこのライブラリアンに確認してね」といったアドバイスをいただいたり、逆に撮影ポイントを教えてくれたりします。できるだけライブラリアンの名前も聞くようにし、後でほかのライブラリアンと話をするときに、「あそこのカウンターで○○さんに確認したのだけれど、ここコーナーでの撮影は大丈夫?」といった風になんども確認しながら、新しい会話を作っていったりします。

この日も入館してインフォメーションカウンターにゆき、若手の元気そうな男性図書館員に確認し、素性を伝えると、とても親切にいろいろな資料をくださいました。さすが米国のすばらしい図書館トップ100にも入るような図書館は、このような対応もこなれています。

充実の児童サービス


この図書館は特に幼児サービスに力を入れている図書館で、ライブラリアンが脳の発達理論や教育理論をしっかりと研究し、裏づけをもってサービス設計をしています。入室して真っ先に目に飛び込んでくるカラフルな部屋の様子はまさにその実践の1つです。パペットコーナーや学習スペースも充実しています。

この図書館でもWiiやXboxなどのゲームソフトがコレクションになっており、ヤングアダルト部門とあわせると200タイトルほどあるようです。やはり人気らしく、ゲームの棚はほとんど空っぽというような状態でした。週に2度もゲームのプログラムがあるそうで、完全に図書館プログラムとして定着しているとのことでした。「なぜ?」と聞くと「やらない理由はないわ。今まで絵本の提供から、DVDの提供、コンピュータの提供にいたるまで、多様なメディアを提供してきたわけだし、ゲームもその最も新しいメディアのひとつだもの。」と毅然とした答えがかえってきました。「否定的な意見はないの?」ときくと、「私が知る限り、この図書館では肯定的な意見が圧倒的。」とのことでした。先週の土曜日も午後1時から4時までギターヒーローのコンペティションがあったそうで、なかなかのもりあがりだったそうです。


児童室にもコンピュータが設置してあり、一応念のためフィルタリングがかかっているかどうか確認しようと思い質問したところ、以外にも「右側の半分がかかっていて、左側の半分がかかってない」との返事が返ってきました。よりオープンな図書館と、図書館員等による教育重視の方向性を打ち出し、フィルタリングを入れないポリシーにしたのだそうです。フィルタリングを入れていないパソコンは、開くときに法律を守って利用することに同意するよう確認画面がでます。これは児童室以外においてあるフィルタリングのかかっていない他の端末とまったく同じ確認画面でした。





パペットの貸し出しはこの図書館はしていないとのことでした。


スキャナやオーディオセットも提供


たくさんの人がいたので全体の写真は取れませんでしたが、1階のいちばん中央にパソコンが30台ほど設置されていました。驚きなのは、スキャナーとヘッドセットが全てのパソコンに設置されているところです。これはすごいなと思い確認してみたところ、「スキャナは図書館の資料をスキャニングしたりするのに使うし、映画を見たり音楽を聴いたりゲームをしたりするのにヘッドホンはいるでしょ?」とのことでした。特に学校の宿題などをしに来る生徒が多く、そのためには必須のアイテムなのだそうで、ここでも教育重視の姿勢が全面に出ている感じがしました。大人ばかりが使っていたので大人のためのコーナーなのかと思っていましたが、確かにこのワークステーションの場所は、ヤングアダルトコーナーとCD、DVDのコーナーに隣接していて、児童・生徒が使いやすい空気でした。

ためしにYou Tubeを表示させて、ワークステーションを撮影してみました。


写真スライドーショー




感想メモ


新しいメディアや機器の提供もさることながら、すでに長い歴史を持つ英語等のリテラシープログラム、グループ学習室など、土台がしっかりしていて、その上での新しいサービスの展開が行われていました。遊びの重要性もしっかりサービスに組み込まれ、ビデオゲームだけでなく、盤ゲームもたくさんあったり、グラフィックノベルやマンガのコレクションもなかなか充実していました。幼児サービスから成人サービスまで、教育というポリシーを徹底すると、こういう図書館になるのでしょうか。なにかとても強いインパクトのある図書館でした。

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