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2008/12/12

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シアトル公共図書館見学記録:2006年10月


松林正己さんの「図書館はだれのものか」の第1章「最先端公共図書館の誕生:シアトル公共図書館新館」は、松林さんが米国国務省主催の米国図書館視察旅行に参加されたときのことをまとめられたものです。冒頭に引用されているWallace S. Landor氏の、"Nothing is pleasanter than exploring a library."(図書館探検以上に楽しいものがあろうか。)言葉どおり、松林さんが心から楽しんでシアトル公共図書館を探検されている様子がとても伝わってくる記事です。

拝読し、私も2年前の2006年にシアトル公共図書館を訪問したこと時のことを懐かしく思い出しました。私にとってシアトル公共図書館は、米国の公共図書館で初めて訪問した場所。奇抜な形をした透明なガラスの建物に最初はこれが図書館かと思わず声を発してしまいました。

詳細はこちらから。





写真撮影

写真撮影に対して厳しい図書館に慣れてきたので、何もしらない私は、シアトル公共図書館でも写真撮影はダメだろうとおもっていました。でも、あまりにもすばらしい図書館で、それもめったにこれない外国の図書館なので一応聞いてみようと図書館員に「写真はとってもいい?」とおっかなびっくり聞くと、「もちろん!どんどん撮っていいわよ!」と過剰なまでの撮影歓迎の反応が帰ってきました。あまりにも気持ちよく快諾されてしまったので、ほかのフロアの図書館員にも尋ねていくと、どの図書館員も同じ反応でした。

確かに館内を見学していると、ほかにもカメラを構えている人にちらほらと出会いました。3階の真っ赤なフロアでは、本格的な一眼レフを構えた人がいたのでたずねたところ、建築学を勉強しているという学生さんだとのこと。数々の建築賞を受賞している図書館だけに、図書館員だけではなく、建築学の人たちも多数撮影に訪れているようでした。

私はもちろん人の顔が映りこむような写真撮影には気を使っていたのですが、最上階でその学生さんがチェスをしている利用者が入るアングルで撮影していたところ、チェスの利用者が「ノー・フォト!ここで写真を撮るな!」とその学生さんを叱っていました。

1階の多言語資料サービスは圧倒的にすばらしいサービスで、ここも撮影をとおもい「カウンターの写真をとってもいい?」と図書館員にたずねると、「モデルが必要?僕でよければここに座っているよ。」と自らおっしゃってくれました。撮った写真を見せながらネットに掲載しても問題ないか聞くと、もちろんいいよとここでも快諾。館全体の方針なんですね。

原則撮影禁止・撮影するなら許可という方針にするのか、原則撮影可・撮影時には利用者のプライバシーに配慮するよう自己責任でという方針にするのか、米国の図書館でも方針は別れるようですが、シアトル公共図書館の開放的な方針は、とても印象的でした。
 

ホームレス対策


松林さんの本にも紹介されていますが、シアトル公共図書館の「ビジネス支援としてのホームレス対策」は話に聞いていたので、サービスとしての基調のようなものが掴めるかと注意を払っていました。もちろん身なりもなにも日本とは違うので、どの利用者がどうなのか、などという判断はなかなかできませんが、関係していそうなことはなんとなく観察することができました。
 
1階のゆったりとした閲覧コーナーに席をとり、1時間ほど、利用者と職員のやりとりを観察してみましたが、1時間の間にも、警備の人や図書館員が巡回してきて、寝ている方に声をかけていくのが見られました。
 
コンピュータのコーナーではトランプゲームなどをしているのが、目に入ってきました。また最上階のほか、何ヶ所かでチェスなどのゲームをしているのが目に入ってきました。
 
後に気づいたことを図書館員に確認したところ、図書館のサービスを使うということが重要で、使い方は自由なのでどのように使ってもらってもよいけれど、ただ眠りに来たりするだけなのは使うとは必ずしも言えないので、声をかけたりしているのだというような説明をいただきました。私も、過去のいろいろな体験から、なんでもいいからなにかをするということが大切だと信じているので、この図書館の方針はなにかとても賛同できるものでした。
 
シアトルの街も歩いていると、小銭を、タバコを、と言われることがよくありました。観光客も多い街なので、いかにも観光客の私には声をかけやすいのかもしれませんが、それにしても頻度が高かったのを覚えています。シアトルの街のほんの片端しか見ていないのですが、街の現状に立脚したサービスの追及について考えさせられた体験でした。
 
参考:
アメリカの図書館訪問記-シアトル公共図書館 (伊東直登)
http://book.geocities.jp/library_live/usalib-seattle-1.html

2008/12/11

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[Private]ブログ改修メモ

せっかく心を売ってのGoogle Blogger なので、いくつかガジェットやらウィジェットやらを追加してみました。

詳細はこちらから。

  • ソーシャルブックマークボタン追加
    参照:フランスの日々 > Bloggerにブックマーク(はてな、Livedoor、Yahoo)のボタンをつける
    各記事の右上と右下に、はてなと、Livedoorと、Yahoo!のソーシャルブックマークを追加しました。

  • タグクラウド追加
    参照:Note - imatakutin's Mind Map > Bloggerのタグクラウド化(初めてのwidgetカスタマイズ)
    ブロガーでは各記事につけられるラベルをつけられるので、Misclleneousの精神でつけていくこのラベルがどういう風に見えるのか、タグクラウドを追加してみました。サイドメニューの「トピックス・タグクラウド」です。

  • トラフィック・マップ追加
    参照:FEEDJIT > Live Traffic Map
    現在滞在しているのがピッツバーグなので、ピッツバーグを本拠とするFEEDJITのトラフィック・マップを追加してみました。このブログへのアクセスを解析して、どこからのアクセスが多いのかを地図上の赤い点で表示してくれます。サイドメニューの「トラフィック・マップ」です。

  • スターレイティング追加
    参照:OUTBRAIN > Content Rating & Recommendation
    各記事の下に、スターレイティングを追加してみました。評価をどうぞ。

  • Blogger in Draftのコメント機能
    参照:clmemo@aka > @ Blogger の記事ページにコメント投稿フォームを追加する
    コメント機能がやたらと使いにくいなと思っていたのですが、新しいバージョンの方ではなおっていました。面白いのは、コメントを付与した人が、そのコメントのその後をフォローアップしやすいように購読(Subscribe)できることです。このブログにはそんな熱い議論が展開されそうな記事はありませんが、もしコメントをいただいたらなるべく同じくらいの長さの返事をきちんと書きますので、なにか思いついたら記事下の「コメント」のコーナーから記入をどうぞ。

  • アクセス解析
    参照:i2i > アクセス解析
    i2iのアクセス解析を設置しました。無料で詳しく解析してくれてなかなか便利です。

  • アクセス・カウンタ
    参照:i2i > アクセス・カウンタ
    i2iのアクセスカウンタに乗り換えました。

  • 検索順位チェッカー
    参照:i2i > 検索順位チェッカー
    どうせコアな人しかアクセスしてこないので、あまり意味はないですが。。一応追加してみました。

それにしてもHTMLやらをいじっていると、時間があっという間に過ぎますね。
 

2008/12/10

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期末期間のピッツバーグ大学図書館:夜の無料コーヒーサービス現地レポート


ピッツバーグ大学の中央図書館であるヒルマン図書館は、中間テスト期間、期末テスト期間ともなると、多くの学生たちで座席も取れないほどに混雑します。しかも、24時間開館であるため、この混雑は朝まで延々と続くのです。学生たちは、無料で提供されるコーヒーを飲みながら、熱心にレポートを書いたり、ディスカッションをしたりしています。

詳細はこちらから。

Hillman Library
http://www.library.pitt.edu/libraries/hillman/hillman.html

ヒルマン図書館は、人文社会科学を中心として約150万冊を所蔵するピッツバーグ大学の中央図書館で、インフォメーションコモンズのコンセプトのもと、200台のコンピュータ端末、1500席の学習スペースを有します。もちろん無線LANも通じており、ノートパソコンの貸出しサービスなども行っています。

学生のニーズの高まる期末期間には、24時間開館をします。今年は12月1日の朝7時50分から12月13日午後6時まで、不夜の城と化します。実際、この期間には、12時の終バスがなくなる時間をまわってもまだ座席を見つけるのが大変なほど混雑し、学生が熱心にレポートを書いたり、ペーパーを読んだり、グループで勉強したり、プログラミングをしたりと、がんばっています。

1階の読み物系のコレクションのコーナー”Alldred Popular Reading Collection”の中にはスターバックスのカフェスタンドが入っています。夜にはしまってしまうのですが、夜10時からは深夜勉強に励む学生たちのために、無料のコーヒーや紅茶が提供されます。

コーヒーコーナーがあるスペースへのサインはこんな感じです。


(Official Websiteより)



タンクが12機。ミルクや砂糖も用意されています。奥の紺色のカバーのかかっているスペースがスターバックスのカフェスタンドです。


今日は、夜の10時くらいから、このカフェスペースの入り口のすぐ外側の座席を取り出入りする人たちを観察しています。次から次へと学生たちがやってきては、コーヒーを取っていきます。夜の12時を回ると、片手にカップを持った学生たちも多くなり、二杯目、三杯目のリピーターが増えてきているようです。私の友人たちも図書館のあちこちに潜伏しており、彼ら、彼女らは通りすぎるときに私に声をかけてくれるので、なんとなく全体の人の流れが見えます。

ヒルマン図書館は、一部の特別コレクションの部屋などを除き、基本的に飲食自由となっています。ドアのある学習室は逆に匂いがこもるため、大げさな食べ物の持込みはセキュリティの人から注意されますが、それ以外は、学生は自由に飲食できます。図書館内をふらふらと歩くと、多くのテーブルの上にペットボトルやコーヒーカップが置かれ、ちょっとしたスナックが広げられています。

学生の層は、もちろん学部生が多いですが、大学院生と思われる人もかなり見受けられます。家にいると、こんな時間に勉強していることに孤独を感じたりしますが、ここにくるとみんな勉強しているので、なんだかそれがあたりまえのように思えてきます。

外は今日は少し暖かめで摂氏2度。終バスが終わると、セーフライダーとよばれる大学のバスが使えるので、車で来ていない人たちも安全に帰ることはできます。彼らはこのまま朝まで勉強を続けるのだと思います。不況にあえぐ米国の若者たち。勉強すれば未来はきっと明るい。
 
私はそろそろ帰って寝ます。
 
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私の好きなライブラリアンに選ばれた人はどんな人?


2008年の「私の好きなライブラリアン」賞が発表され、10人の図書館員が、顔写真とともにノミネーションの際に提出された推薦理由が公開されています。

詳細はこちらから。
http://www.ilovelibraries.org/lovemylibrarian/winners.cfm

参考:
「私の好きなライブラリアン」賞(米国)(CA-R)
http://current.ndl.go.jp/node/8598
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図書館員の歌


YouTubeにはたくさんの図書館関連ビデオが投稿されていますが、”IloveLibraries.org”の中に”Libraries on YouTube”というコーナーがあります。

詳細はこちらから。
Libraries on YouTube
http://www.ilovelibraries.org/loveyourlibrary/ILoveLibrariesonYouTube.cfm

図書館員の歌というのを見つけたので、ちょっと・・・ですが紹介します。


 
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CafePressで図書館グッズのデザインを学ぼう

ドロップシッピングのビジネスモデルで急速に拡大してきたCafePress。1999設立のいわゆるドットコム・バブルの中から出てきた会社で、ユーザーデザインのTシャツ、帽子、トートバッグ、マグカップなどなどの販売を行い、収益の一部をユーザーデザイナーに還元してくれるサービスを展開しています。ライブラリーグッズのラインナップもとても充実していて、オンラインギャラリーとして眺めるだけでも楽しいです。

詳細はこちらから。
http://shop.cafepress.com/Library?cmp=KNC--g--us--con--occupat--c--Library

10,000以上ある図書館、図書館員に関係するデザインの中から、いくつか、お、なかなかと思ったものをピックアップしてみました。図書館がデザインしてファンドレイジングの一環として販売しているものもあるようです。

図書館員を信じましょう。信じましょう。


図書館員のライバルのデザインをぱくり。


色違いもあります。


男性モノじゃないのもあります。


貸出しの女王!

 
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トニー・カーボ博士の導き

在籍するピッツバーグ大学情報学大学院の講義の中でも最も負荷の大きい講義にトニー・カーボ博士の情報政策のセミナーがあります。カーボ博士はこの大学院の学部長を勤めていましたが、雑務に忙殺されるそのポジションを離れ、今学期は気合をいれてこのセミナーを率いていたのでさらに、セミナーのほうは大変なことになっていました。セミナーは、情報学大学院の三専攻(図書館情報学、情報学、テレコミュニケーション学)の修士・博士課程すべての学生に開かれていますが、今期は、覚悟の上で登録した17名が参戦していました。
 
日米の教育は本当に違うなあと実感したセミナーでしたので、その中でも特に強く思ったことを、メモ程度に。
 
詳細はこちらから。

Dr. Tony Carbo
http://www.sis.pitt.edu/~tcarbo/

期待していた授業を超越


分野横断の情報政策のセミナーと聞いて想定していたのは、一言で言えば、広く浅いもの。ところがこのセミナー、広く、そして深いものでした。著作権、図書館の自由、検閲問題など仕事に関わってくる主題は、これまで断片的に理解しようとしてきて勉強してきたつもりですが、数年かけてもいまいちどう考えていいのかわからなかったものが、3ヶ月分のシラバスには、それらがセミナーのほんの小さな構成要素になっていました。そんなシラバスを見て、最初は「これは無理だとおもうんだけど、どう料理してくれるのかね?」と疑うばかりでした。カーボ博士の導きは、本当の政策はValueに根付くものであるという明確な意識の確認に始まり、米国憲法のValueの理解とそこに示された情報政策のルーツを解釈し、そこから政府情報、プライバシー、情報の所有権、表現の自由と検閲、児童保護の領域に進出し、さらにその中の具体的な事項に関わる政策理解の枝葉へと広げていく、というものでした。毎週3時間みっちり行われるディスカッションの中で、今まで見えなかった構造がどんどん解明されていき、思わず目を見開いてしまうことがなんどもありました。

英語がもう少しできれば、、、というのが大きな悲しみ。

修士と博士


それにしても博士と修士は大違いです。来る前は、こちらの修士はもう少しレベルが高いものだと思っていたのですが、要求レベルも意外と日本の学部生レベル程度で単位は取れる気がします。ただ、単位が取れるというのと、深く理解するのとでは話は別物で、単位をとっているだけでは就職口も博士への道も見つからないという現実は、日本と一緒です。一方博士課程の人はレベルがすごいです。例えば博士1年目の友人エリザベスは、最初、この人大丈夫かなというくらいいつもピントがはずれていたのですが、記憶力に非常に長けていて数年前にあった人についても経歴から研究分野からすべて解説できるという特殊能力をもっていますし、この人だけでなく、さすがみなそれぞれ評価されてこの大学院に来たのだということがよくわかります。セミナーでも、学期が終わる頃には博士1年組みたちはピントをぴたっとあわせられる立派な論客に急成長していました。

成長しなかったのは私くらい、という悲しい現実。

知識の置き場所


受験戦争の中で育ってきた私は、知識は教科書や参考書やノートのどこに書いてあったかで思い出すタイプで、情報はどこかに置き場所が決まらないと短期記憶からすぐに抜け落ちてしまうタイプだと、自分を分析しています。そんな私と比較したとき、彼らの学び方は明らかに違うもののように思いました。言語表現する能力の育成を重視する教育の中で、物事の属性を多面的に捉えていて、それらをどんどんつないでいくような、そんな思考回路をしているようにうつりました。「Miscellaneous」の中にも米国の教育の変化についての言及がありますが、博士課程の学生のディスカッションスキルの成長を見ていると、まさにそれを実感させられるものがありました。圧巻だったのは、9週目から5週続いた学生リードによるディスカッションでした。3,4人のグループが、特定領域の情報政策について3時間にわたってディスカッションをリードしていくのですが、リードする学生は領域に関する多くのノードの存在を把握し、それをグループの中で共有し、さらに他の学生の中にあるノードとの結びつきを模索しながら、見事に3時間盛り上げ続けていました(という風にわたしは理解しました)。

どうしたらそうなれるのか盗もうとしましたが、一朝一夕ではむりでした、とざんげです。


博士から全員にメールで、"Thank you again for taking this course and for giving me the privilege of teaching you.”と挨拶がはいっていました。すばらしい人間性です。カーボ博士がもうじき退任されるのは、寂しいですが、学べたことを幸せに思います。非常に疲れましたが。。
 
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CDT、オバマ新政権に対するネット上の言論の自由などに関する政策提言を公開

デジタル時代における言論の自由やプライバシーの保護活動を行う米国のNPO団体Center for Democracy and Technology(CDT)が、オバマ氏の政権移行チームへの政策提言書を公開しています。この政策提言書は、人権、ネット上の言論の自由、ネットのオープン制、消費者のプライバシー保護、開かれた政府の促進などの領域についてカバーしており、それぞれ2、3ページで論点整理と具体的で現実的な行動計画を示しています。
 
詳細はこちらから。
 
Transition Materials for President Obama
http://www.cdt.org/transition/

2008/12/09

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Miscellaneous:デジタル時代の情報組織化を考えるキーワード

Miscellaneousという言葉。契約書などでは雑則などと訳されたりし、その他諸々といったような意味に解釈されることが多いこの言葉ですが、実際の意味は、あるものが様々な構成要素から出来上がっていること、あるいは、様々な性格や属性や表情をもっていることを示す形容詞です。

”Everything is Miscellaneous”という魅力的なタイトルを持つこの本は、物理的な制約がないデジタル世界の情報組織化のあり方を、フォークやスプーンの整理などといった日常的な組織化の行為から考えていく本です。お勧めです。

詳細はこちらから。

Everything is Miscellaneous
http://www.everythingismiscellaneous.com/wp-content/samples/eim-sample-prologue.html
#序文と第1章を読めます。
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ウェブ版ニューヨークタイムズの進化:情報組織化の方法は見通せる?

紙メディアで発展してきた新聞社はいろいろな試行錯誤を重ねてインターネットへ活動領域を広げてきています。そのさきがけの1つニューヨークタイムズが、Times Extraという新しい機能を追加しました。今までニューヨークタイムズは表玄関とも言えるウェブサイトのほかに、あたかも第三者が運営しているかのように見せていた裏玄関Annotated Newyork Timesを運営していましたが、表玄関からすっきりと裏玄関まで見通せるように改装した形です。

詳細はこちらから。

Times Extra
http://www.nytimes.com/marketing/timesextra/



ニューヨークタイムズがニュースアグリゲーションサービスであるblogrunnerを買収したのは2005年のことでした。その後ニュースアグリゲーションサービスはAnnotated New York Timesとして、本体とは切り離された運営されてきていました。このサイトでは、ニューヨークタイムズの各記事に関するブログや関連する他の新聞などの記事などを集め、1つに束ねて提供していました。権威あるニューヨークタイムズにとっては、集めるブログや新聞サイトなどをどのように決めるかという点が難しいところで、これが今までこのサイトを別けていた理由のようです。Times Extra
の開始は、アグリゲーション技術の進歩、選定の成熟、ウェブ文化の発展などにより、この点がニューヨークタイムズの権威を傷つけるものにはならないという判断があったものと思われます。

これでNew York Timesの透明性が一段と増した、と思います。

ニューヨークタイムズについては、以前、ウェブコンテンツの有料化の流れの中で、Times Selectを始めたときにががっかりしました。これは価値がある情報を有料サイトの中に囲い込むことで、インターネット上で情報の販売を通じて収益をあげるのが狙いでしたが、結果としてニューヨークタイムズの影響力が落ちたようで、2007年9月に停止され、コンテンツがオープンになりました。

一方でGoogleなどのランキングなどもぐぐっと押し上げたのがTimes Topicsで、これはニューヨークタイムズが貴重な調査の道具であることを考えると、とてもすばらしいサービスです。14,000以上の主題について、1981年までの記事を主題ごとに並び替えて表示してくれるので、1つの話題の情報収集が本当に楽になりました。機能も充実していて、主題ごとにRSSやeメールで新着情報を把握することができますし、主題ごとのアーカイブを対象に検索できるので、情報量の大きい主題の調査も容易です。例えば私は、"Libraries and Librarians"、"Library of Congress"、"Archives and Records"などを、RSSリーダーに読ませています。

さてさて、図書館屋としては、これらのサービスを実現するための情報組織化の方法を考えてみると面白いとおもうのですが、どうでしょうか?
 
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21世紀の政府へ:オバマ氏の政権移行サイトにクリエイティブ・コモンズ

より開かれた、透明な、参加可能な21世紀の政府のあり方を模索してきたオバマ氏が、政権移行サイトChange.govにクリエイティブ・コモンズ3.0を採用したと、ニュースルーム・ブログで公表しています。

詳細はこちらから。

Toward a 21st century government
http://change.gov/newsroom/entry/towards_a_21st_century_government/



2008/12/08

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[Private]ALA冬季大会2009への申込完了

2009年1月23日から28日の予定で開催されるデンバーの冬季大会への申込をしました。夏の年次大会に参加して、あまりにもプログラムが多すぎて見きれたもんじゃないということがわかったので、今回の主目的は、わりきって、展示場に集まる米国の図書館文化の豊かさを支える図書館産業の情報収集です。
 
詳細はこちらから。

ALA 2009 Midwinter
http://www.ala.org/ala/conferencesevents/upcoming/midwinter/home.cfm
 
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情報を落とさない米国メディアの大統領選報道

渡辺将人さんの「見えないアメリカ」という新しい本。さすが米国社会の中に入りその政治を観察をしてきた人の著作であるだけに、いろいろと今まで見えなかったアメリカをわかりやすく解説してくれ、とても勉強になりました。

ただ、最新の本なのですが、現在の米国社会に対して今の私が感じていることと、多少の違いがあるのです。渡辺氏の執筆当時と今とのギャップからくるもの。この間にいったい何が変わったのでしょう。まだまだ謎だらけですが。

詳細はこちらから。

Transcript: 'This is your victory,' says Obama
http://edition.cnn.com/2008/POLITICS/11/04/obama.transcript/

上のリンクはいわずと知れたオバマ氏の大統領選の勝利演説のトランスクリプトと映像です。Videoのタブをクリックすると映像が見られます。この勝利演説だけでなく、討論会などの映像ももちろんみることができます。実はこれが、私の思う「見えないアメリカ」が、まだ見ていない部分です。

この本の第5章「メディア-大衆化の舞台装置-」では、政治と報道をめぐるシニシズム、ネットワークの凋落、国民的「儀式」の諸滅などから始まって、ジャーナリズムと党派言論をつなぐブログの登場にいたる、アメリカのメディアの変遷を報道記者らしく、日本に共通する現象をリズムよく解説してくれます。なるほど、と思うのですが、ここに、今回の選挙報道を通じて、メディアがオリジナルの映像をインターネットで配信し始めたことのインパクトは、まだ、出てきません。

メディアという存在、特に政治報道をするメディアは、オリジナルにあたれない人のために情報をプロの目線で切り取って必要な人に伝えてくれるありがたい存在です。忙しい市民は自分ではオリジナルなんてあたってられないですから、メディアに頼らざるをえません。しかし今回の選挙は、一般市民にとっても自分の未来まで決め兼ねないような選挙になり、みんな自分の一票を真剣に考え、確かな根拠を求めていました。多くの市民が、「偏りのない報道」という言葉の嘘を知っている世界では、むしろ自らのバイアスを認めはっきりと価値判断を示してくれる報道を多くの人が信用しますし、さらにその根拠を示してくれるほうをより信用します。渡辺氏の解説のように、ネットには政治ブロガーがたくさんいて、彼らがどんどん解説してくれる世界ですから、意図的バイアスの発見は容易です。

メディアはどんなにがんばっても、情報を落とさざるを得ません。1時間の講演を10分で伝えるためには50分の情報を落とさなくてはなりません。たとえ演説を忠実に伝えようと文字おこしをしたとしても、声に現れた抑揚などは伝わりません。オバマ氏の勝利演説の「United States of America」の部分も、それが「合衆国」というだけの意味ではなく、「United」を強調し、真の意味で統合されたものを目指そうというメッセージであることは、音声情報を落とした時点でつたわらなくなります。

この限界を超えて、演説の映像をそのままアーカイブし、できる限り多くの人がアクセスできるようにし、自己判断を、あるいは市民の判断を促す姿勢に舵をきった米国メディア。厳しい市民の批判の目にさらされる米国メディア。この情報を落とさない報道姿勢は広まっていくのでしょうか。
 

2008/12/07

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ブルックリン研究所の電子政府を国際比較レポート2008


電子政府の国際比較というのはそれぞれお国柄がありますので、なにかしらの視点から見るしかありませんが、米国のシンクタンクであるブルッキングス研究所のWest氏がまとめている"Improving Technology Utilization in Electronic Government around the World, 2008"は、世界198ヶ国の1,667の政府系ウェブサイトを分析したもので、オンラインで利用可能な機能や、国による多様性、また近頃のトレンドなどを考察している報告書です。

この報告書では、今年もお隣韓国が世界のトップに。そして昨年3位の台湾が米国を抜いて2位に踊り出て、シンガポールも4位にとどまっています。アジア勢元気です。日本は昨年40位から3つ順位をあげて37位になっていました。

指標次第で順位は簡単に変わるものだと思いますが、こういう指標でキルとこういう風な順位になるのかと考えるのはちょっとたのしいものです。いやむしろ順位を見るほうが楽しいか。。ランキングは15ページのTable A-1で見られます。

詳細はこちらから。

Improving Technology Utilization in Electronic Government around the World, 2008
http://www.brookings.edu/reports/2008/0817_egovernment_west.aspx

この報告書による今年の主な見所としては、

  • 技術の利用において、米国が韓国や台湾の後手に回っていること。上位にランクしているのは、韓国、台湾、米国、シンガポール、カナダ、オーストラリア、ドイツ、アイルランド、ドミニカ、ブラジル、マレーシア。一方でかろうじてウェブサイトが確認できるにとどまる国もまだ多い。
  • ウェブ上で完全に実行できるサービスを提供しているウェブサイトは、全体で50%になり昨年の28%から向上したこと。97%のウェブサイトが出版物へのリンクをアクセスを提供し、75%がデータベースへのアクセスを提供していること。
  • 30%のウェブサイトがプライバシーポリシーを掲載し、17%のウェブサイトがセキュリティーポリシーを掲載していること。
  • 16%のウェブサイトが、障害者のアクセスを補助する何らかの方策を提供していること。
  • 57%のウェブサイトが、他国語での翻訳を提供していること。
  • 14%が、パーソナライズ可能なウェブサイトとなっており、3%が携帯情報端末からのアクセスが可能となっていること。
などだそうです。

電子政府は、政府の効率性、透明性、市民の政府に対する信用、民主的プロセスへの政治的参加などを大きく変革する可能性を持っているという意見を耳にしますが、果たしてこのレポートどう理解したらよいものか。
「信用」が「支持率」だったら(別物ですけど)、今の米国政権、大変なことになってますしね。
 
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イリノイ州でたぶん一番小さな図書館の話

日本の公共図書館は「公立」であるけれど本当に「公共」になっているのか?という問いが時々議論になりますが、無線LANを通したり、携帯からアクセスできるOPACを提供したり、畳敷きの居間のようなコーナーを作ってみたり、真の「公共」であろうという思いはいろいろな形で表現できるのだろうと思います。

シカゴから200マイル、車で4時間ほどの距離にある、イリノイ州Ellisville。人口は86人。この町に、蔵書数3,500冊、広さ336平方フィートという、イリノイ州でおそらく最小と推測される「公共」図書館があるそうです。この小さな図書館、この5年間に大きな成長をとげたそうです。

詳細はこちらから。

Ellisville library smallest in state
http://www.cantondailyledger.com/articles/2008/12/06/news/news07.txt

この町で生まれ育ち、学校教師をしていたHelen Myersさんが、広さ140平方フィート(13㎡)の町の古い電話局を借り図書館を開いたのは1966年のこと。以来37年間ヘレンさんは寄付と自分のお金でこの図書館を1人で運営してきました。ところが2002年にこの建物が壊れてしまい、ヘレンさんは口座に貯めておいたこれまでの寄付金と自分のお金のうち8千ドル(80万円)を使って自分の土地の一角に新しい図書館を建てることにしました。この新しいエリスヴィレ図書館は2003年に開館し、広さはなんとこれまでの倍以上、336平方フィート(31㎡)になりました。

ヘレンさんの話は広まり、話を聞きつけたファースト・レディのローラ・ブッシュ氏も7冊の本と手紙を贈りました。ヘレンさんは手紙を額に入れ図書館の壁に飾り、本を貸出資料に加えましたが、意図的にローラ・ブッシュの名前は本に記さなかったそうです。「誰かが借り出したまま返さないかもしれないもの。」と。その後テレビの有名人や作家の未亡人などから幾ばくかの寄付を受け、図書館は5年経った今も開館しています。

開館時間は毎週土曜日朝9時から11時まで。利用者が2人くれば良い方。でもそれでいいそうです。なぜならこの小さな町では、みんなヘレンさんの居場所も電話番号も知っていて、いつでも行きたいと言ってくれれば開けられるからだそうです。延滞本もたくさんあり、中には1981年から返していない本もあるようですが、督促をする気はないそうで、「もう孫もいる人だから」いいそうです。でも子どもは3週間に2人くればいいほうで、図書館にはたくさんのいい本があるのに、子どもたちがテレビをみたりコンピュータをいじったりばかりしているのは、ちょっと悲しいそうです。

ヘレンさんは今82歳。
町の人口は、この1年で3人増えました。
 
エリスヴィレ「公共」図書館の話でした。
 
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米国政府の”秘密”に関する政策の深さと広がりを考える論考

8年ぶりに民主党が政権に就く米国では、経済政策や外交政策、環境政策などの大きな転換が期待されており、これらに関する報道は幅広く行われていますが、あまり報道にはあがってこない重要な柱の1つに、情報政策があります。先の民主党政権であるクリントン・ゴア政権時代に透明な政府の設立が目指され、First.gov(今のUSA.govの前身)により電子政府も大きく前進しましたが、その後機密情報等に関する政策等に大きなゆり戻しがあり、今に至っています。

そもそも米国政府は、”秘密”をどのように考えてきたのでしょうか?なかなか全体を把握することは難しいですが、2002年、03年当初の大きな変換点に立ってこの政策分野の時間的な深さと関連分野への広がりを振り返った資料として、米国議会図書館のRelyea氏が執筆した”Government secrecy: policy depths and dimensions”という論文があります。個人的にはバランスの良い論考だと思いますが、どうでしょうか?

詳細はこちらから。

Government secrecy: policy depths and dimensions
http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6W4G-4B6SK9R-6&_user=88470&_rdoc=1&_fmt=&_orig=search&_sort=d&view=c&_acct=C000006998&_version=1&_urlVersion=0&_userid=88470&md5=62d2eb1d973f4e3a535841aa64c3d543
 
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民間の資金を図書館にいかにして取り込むか?OCLCのレポート

米国の図書館は、公共図書館、大学図書館とも多く民間資金を取り込んで新しいサービスの創出などにあてています。図書館が何を目指し、また何に配慮しながら資金調達に取り組んでいるのかは注意深く考える必要がありますが、一方で実践レベルでは、図書館に流れ込みうる資金がどこにあり、それに対してどのようにアプローチをすればいいのかを明らかにする必要もあります。OCLCがこの夏に刊行したレポート”From Awareness to Funding: A study of library support in America”は、このような実務担当者のニーズに応えてくれる研究のひとつです。

夏のALA年次大会で、刊行直前だったこの報告書の報告会をきき、会場の熱気に飲まれてしまいました。会場には学生レベルと思われる人も多く混じってはいましたが、多くがこの道のエキスパートと思われる人たちで、質疑応答の時間にはこの研究を支持する声が多くきかれ、報告終了後も担当者の周りには大きな人だかりができていました。

詳細はこちらから。
From Awareness to Funding: A study of library support in America
http://www.oclc.org/reports/funding

参考:
OCLC、米国の公共図書館へのファンディングに関する調査レポートを刊行(CA-R)