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2009/03/14
ACRL、全国大会を”グリーン”へ
ACRL(米国大学研究図書館協会:Association of College and Research Libraries)の第14回全国大会が3月12日から15日までワシントン州シアトルで開催されています。今回の全国大会のコンセプトは、”グリーン”とのことで、環境にできる限り配慮した会議運営を目指しています。
詳細はこちらから。
http://www.ala.org/ala/mgrps/divs/acrl/events/seattle/green.cfm
米国においては、環境問題に関心の高い人は本当に関心が高く尊敬できるのですが、正直、そうでない人が多すぎる、と常々感じていました。日本で普通の人が普通に理解し実践していることが、ぜんぜん認識もされていなければ、理解もされていないというのが、私の率直な印象です。考えているグループはとても考えているのも確かですが、新政権になっての、テレビ、雑誌、新聞などのメディアにおける環境問題の露出のアップは顕著なものがあります。
そんななか、この第14回ACRL全国大会が、あくまで図書館の会議であり環境問題を話し合うための会議ではないのにもかかわらず、”グリーン”をコンセプトにすえそれを売りにして会議を盛り上げているのは、とても興味深いものがあります。
実際にどんな”グリーン”が?
会議運営において考えられるあらゆるものに挑戦しています。例えば・・・
・会議参加者に配布するトートバッグは、使用している繊維の51%がリサイクル品のものにしました。(アメリカの図書館業界の大きな大会では必ずといっていいほどトートバック渡されます。ちなみに、このトートバックのスポンサーはEBSCOでした。)
・会議期間中に提供する食べ物や飲み物について、できるかぎり環境に優しい食品を提供しています。(アメリカの図書館業界の会議ではとにかくたくさんの食べ物や飲み物が提供されるので、結構なインパクトがあります。例えば、水のペットボトルについても、1人が一本もっていけるようなものをやめ、大きなペットボトルにし、ガラスのコップを用意する、といったようなことをやっています。)
・ごみを減らすための取り組みの一つとして、ひとりひとりにプラスチック製の蓋つきマグカップが提供されている。このプラスチックは、100%とうもろこしを原料として作られているものを使用しています。(このマグカップのスポンサーはInnovative Interfaces社でした。)
・プレゼンテーションに紙の配布資料をなるべく使わないように薦め、その代わりにオンラインにすべての資料および記録を掲載するようにしています。
・プログラムなどの必要な紙製品には再生紙を使い、また、インクも大豆から作られたものを使用しています。
・ホテルについて、環境への取り組みを行っているところに限定しています。(アメリカの会議では会議参加者に指定のホテルの割引を提供しますが、このホテルの手配にあたって、リストを用意し、どのホテルでどのようなグリーンサービスがあるか一覧できるようにしています。)
・会議参加者全員に4分砂時計を配っています。(最初、これは何のためかと思ったのですが、説明によると、シャワーの平均は平均8分だそうで、それを4分にして節水にとりくもうというものだそうです。)
・展示会に出展している企業に、自社の環境問題への取り組みをアピールするようにすすめています。(実際多くの企業がアピールしていました。)
・展示会出展者および出席者から、あまった資料や本を集め、Better World Booksに寄付しています。
・グリーンな会議運営に関するブースをもうけ、情報提供を行ったり、グリーンをテーマとしたセッションの時間を設け、講師を招いて講演会を開いたりしています。
インパクト?
日本の会議では、特に強くアピールすることなくやっているものもありますが、このように列挙すると、1つの会議でできることというのは実にいろいろとあるものだということに気づかせられます。特に、この会議が、全国大会であり、3000人以上の参加のあるものであることを考えると、そのインパクトは小さくないとおもいます。しかもおしゃべりで活動的で情報の伝達を生業としているアメリカの図書館員なので、整理されて共有された情報は、かならずいろいろなところに伝播して、波及効果もみこめます。
Go Green.
2009/03/12
全館リニューアル、新しいシアトル公共図書館27館をめぐるスタンプラリー:体験レポート
シアトル公共図書館では、"Library for All"を掲げ、1998年から中央館及び全26分館の新築・改築を行いました。2008年に全ての工事が終了し、無線LAN環境も全館に配備され、新時代に対応するシアトル公共図書館システムが完成しました。これを大事業の完了を記念して、市民の税金や寄付金により出来上がった図書館をより多くの市民に触れてもらうべく、全27館をめぐるスタンプラリー、”パスポート”プログラムが企画され、実施されました。
シアトルを訪問する機会があったので、1日半かけて体験してみました。
詳細はこちらから。
http://www.spl.org/default.asp?pageID=audience_current_featuresdetail&cid=1219360118046
パスポートプログラムとは
パスポートプログラムは、全ての図書館の写真と情報が掲載された”パスポート”を発行し、市民にハイキングや自転車、公共交通機関などを使ってスタンプラリーをしてもらおうというものです。
写真が、そのパスポートです。本物のパスポートよりもひとまわり大きめです。このパスポートを中央館ほか全館のインフォメーションカウンターにおき、希望する人がだれでももっていけるようにしました。パスポートには、全館の外観写真と2,3枚の内装写真、そして新たに開館した日付や図書館の広さ、設計者や建設施工者の名前などが掲載されています。もちろんスタンプを押す場所もあります。
ちなみに、シアトル公共図書館は、貸出返却とレファレンスが完全に分離されており、レファレンスカウンターが”インフォメーションカウンター”です。インフォメーションカウンターには、図書館員がついていますので、市民にパスポートをもらうとき、パスポートにはんこをおすとき、図書館員は市民とお話することができます。図書館員にとっては、自分たちの図書館をアピールする、また図書館員の仕事をアピールする、絶好の機会というわけです。
この企画に対する市民の関心は高く、実に多くの市民がパスポートを手にとり、スタンプラリーに参加しました。参加形態は様々で、ハイキングとして楽しんだ人、自転車でまわった人、バスでひとつひとつまわっていった人などがいました。中には、オーストラリアやイギリスなど海外からきてパスポートをもっていった人もいたそうです。また、この企画に感動した図書館大好きの地元のウルトラマラソンランナー、サム・トンプソンさんは、1日全館走破に挑戦し、話題となりました。
実際すべてのスタンプを集めた人も数多くおり、1月7日に開催された終了者を表彰するイベントでは、80人ほどの終了者が集まりました。その中のお1人、ブレンさんは95才のおばあさま。全館踏破を成し遂げたおばさまに、パスポートプログラムで何を一番楽しんだのかときいたところ、"Having a mission and completing it was very important to me, because you see, I'm 95,"とおこたえになったそうです。
パスポートプログラムを紹介した地元テレビ局のビデオが以下のサイトで見られます。
http://www.spl.org/default.asp?pageID=audience_current_featuresdetail&cid=1231913922017
また、終了者の集まった記念イベントの様子は以下のサイトで見られます。
http://www.seattlechannel.org/videos/video.asp?ID=3070839&start=23:32
せっかくシアトルにきたので体験してみた
シアトルに来たので、せっかくなので体験してみました。
サムさんの挑戦にちょっぴり敬意をはらい、最初と最後だけは自分の足を使おうと、朝の開館時間10時にあわせてホテルから中央館まで走り、パスポートをもらいました。最短でも100キロ以上あるコース。もちろん走るのは不可能なので、その足でレンタカー屋さんに行き車をかり、車でまわりました。
パスポートをもってカウンターにいき、スタンプがほしいというと、大げさすぎるでしょ、とおもうくらい大きなリアクションで、「もちろんよ!私たちの図書館にきてくれてありがとうね!」と迎えてくれました。
首からぶら下げた一眼レフを持ち上げながら、何枚か写真を撮っていい?と聞くと、「プリーズ!」とのリアクション。あそこの壁にかかっているのはだれだれの作品よ、とか、外壁が特徴的なのよ、とか、むしろどんどん撮ってくださいなという姿勢。なんでそこまで?と聞くと、「新しい図書館を写真におさめたいというリクエストは数知れないし、それに市民のものだから、あたりまえだと考えているのよ。」と。全館図書館員が合意したポリシーとしてしっかりと根付いていること、そして、「ことなかれ」ではなく、原則OKにしたうえでマナーの文化を創っていくという能動的な姿勢、あらためて感動してしまいます。
市民に気持ちよくスタンプラリーを楽しんでもらうということのために、考えられる全てのことを考えつくしているというかんじがします。スタンプは各図書館のオリジナル。例えばグリーンウッド分館は、林をあしらったデザインのハンコで、緑色のインクをつかったりして、スタンプをおすときにスタンプのデザインについてちょっとしたトークをしてくれたりします。
図書館員によるパスポートプログラムへの感想
あまりにもすべての図書館員がこのプログラムを楽しんでいるようなので、途中、図書館員にこのプログラムをどう思っているのかたずねてみると、すばらしい企画だよね、と即答でした。
ハイポイント分館の図書館員のデニスさんが語るには・・・
港町として世界中から移民が入り、みなとてもフレンドリーなシアトルの町だけれど、それでも慣れ親しんだ地域に閉じこもりがちになってしまうもの。あたらしい移民も、同郷者が集まる居心地のよい地域に入り込むと、その地域から一歩もでないで暮らすようになることも多々ある。せっかくすばらしい町なのに、その町の一部しかしらずにすごしてしまうのはとても残念なこと。
パスポートはもちろん、それをもって世界のいろいろなところにいき、自分の目を開き、あたらしいものにふれ、それまでとことなる体験に自分を発見していくことができるもの。シアトル公共図書館のパスポートも同じこと。このパスポートをもって図書館に来る人たちは、図書館だけを訪ねているのではなく、知らなかった地域をあるき、写真をとり、地域の人と話し、そしてあたらしいものに出会っている。
それが一番すばらしいことだと思うんだ。
・・・と。
シアトルの町は、他の町に比べるとはるかにコミュニティが分断されていない感じがしますが、それでもまだまだ目指すべき目標はあるようです。
デルリッジ分館のシャノンさんが語るには・・・
シアトルの町には、新しい移民もおおいし、その本国の状況をたどっていくと、そもそも図書館というものが存在しない国からきている人たちもたくさんいる。例えば、アフリカ西部から来た利用者の人たちの話では、こちらに来る前の段階では図書館というものがなく、そもそもそのコンセプトも知らなかったみたい。彼ら彼女らにとっては、私たちの図書館が初めての図書館だし、私たちの図書館を通じて図書館という概念を理解しているの。
・・・と。
地域の小さな一分館の活動が、もしかするとアフリカ西部の図書館のモデルにもなる。そのことまで意識しながらサービスをしているシャノンさんの姿勢。”パスポート”というプログラムがコミュティの融和を産み出す。図書館の宣伝を遥かに超えて、コミュニティ構築まで意識しながらパスポートをもつ人を迎えるデニスさんの姿勢。
小さな質問から、期せずしてシアトル大好きなシアトルライブラリアンの心意気にふれてしまいました。
どのくらい市民に受け入れられたのか
どのくらい市民に受け入れられたのかをはかるのは、きっと市民がどのくらい楽しい話題として図書館やパスポートを取り上げているかということなのだとおもいますが、偶然にも、このプログラムがいかに市民に受け入れられていたかを感じさせられるシーンに何度かあうことができました。
最初に訪問したビーコンヒル分館の建物の外で写真を撮っていると、歩いてきたちょっとメタボのおじさんが、この壁のスレートおもしろいよなぁ、と話かけてきました。とても当たり前のように図書館通らしく、どこどこの分館もいい、本館はもちろんすばらしい、シアトルはすごくいい町なんだと熱くかたられてしまいました。道でこんな人にあったのは初めてで、とても衝撃でした。
11番目に訪問したチャイナタウン分館でチャイニーズの図書館員に話を聞いて、別れ際、後いくつのこっているの?と聞かれ16だと答えると、そばにいた利用者のおっさんにニヤニヤと「そりゃーたいへんだべぇ」という感じで拍手されました。周りで勉強したりパソコンさわっていたりする利用者からもニヤリと笑いがもれていました。
22番目に訪問したバラード分館では、妊婦の方が近づいてきて、「プロの写真家さんですか?いやその、パスポートをもって写真を撮られていたので。。。」と丁寧にきかれ、いやいやちがいますよ、ただの素人です、でもライブラリアンです、というと、「あぁ、そうですかぁ!」と根堀葉堀素性を聞かれてしまいました。そして最後には、握手までされ応援されてしまいました。
中央館で写真をとっていると、手を怪我して休業中という感じのおじさんが近づいて、ひくい声で、「上、写真撮ったか?」と聞いてきました。最初きいたときにはおこられたかとおもうようなトーンだったのですが、「ちょっとついてきな」といわれたのでついていくと、上を指差して、「あれの写真をとらなくちゃぁなぁ」と、お気にいりの撮影スポットを教えてくれました。
あちこちで図書館が日常の話題になっている町。図書館が核ととなって話題が生まれている町。それも、借りられた本の話だけではなくて、生活のひとこまの話として図書館自体がトピックになっている町。スタンプラリーの間に触れた光景は、ほかの町ではあまり感じたことのないものでした。
触れた世界は断片の断片かもしれませんが、市民の図書館とはこういうものだと、つくづく感じさせられました。
結果、一応踏破
100キロほどのドライブと、10キロほどのウォーキング&ジョギングで、足早に全館踏破しました。そしておもったこと。この企画、おもしろい!単純ですが。
というわけで、写真スライドショー
シアトルを訪問する機会があったので、1日半かけて体験してみました。
詳細はこちらから。
http://www.spl.org/default.asp?pageID=audience_current_featuresdetail&cid=1219360118046
パスポートプログラムとは
パスポートプログラムは、全ての図書館の写真と情報が掲載された”パスポート”を発行し、市民にハイキングや自転車、公共交通機関などを使ってスタンプラリーをしてもらおうというものです。
写真が、そのパスポートです。本物のパスポートよりもひとまわり大きめです。このパスポートを中央館ほか全館のインフォメーションカウンターにおき、希望する人がだれでももっていけるようにしました。パスポートには、全館の外観写真と2,3枚の内装写真、そして新たに開館した日付や図書館の広さ、設計者や建設施工者の名前などが掲載されています。もちろんスタンプを押す場所もあります。
ちなみに、シアトル公共図書館は、貸出返却とレファレンスが完全に分離されており、レファレンスカウンターが”インフォメーションカウンター”です。インフォメーションカウンターには、図書館員がついていますので、市民にパスポートをもらうとき、パスポートにはんこをおすとき、図書館員は市民とお話することができます。図書館員にとっては、自分たちの図書館をアピールする、また図書館員の仕事をアピールする、絶好の機会というわけです。
この企画に対する市民の関心は高く、実に多くの市民がパスポートを手にとり、スタンプラリーに参加しました。参加形態は様々で、ハイキングとして楽しんだ人、自転車でまわった人、バスでひとつひとつまわっていった人などがいました。中には、オーストラリアやイギリスなど海外からきてパスポートをもっていった人もいたそうです。また、この企画に感動した図書館大好きの地元のウルトラマラソンランナー、サム・トンプソンさんは、1日全館走破に挑戦し、話題となりました。
実際すべてのスタンプを集めた人も数多くおり、1月7日に開催された終了者を表彰するイベントでは、80人ほどの終了者が集まりました。その中のお1人、ブレンさんは95才のおばあさま。全館踏破を成し遂げたおばさまに、パスポートプログラムで何を一番楽しんだのかときいたところ、"Having a mission and completing it was very important to me, because you see, I'm 95,"とおこたえになったそうです。
パスポートプログラムを紹介した地元テレビ局のビデオが以下のサイトで見られます。
http://www.spl.org/default.asp?pageID=audience_current_featuresdetail&cid=1231913922017
また、終了者の集まった記念イベントの様子は以下のサイトで見られます。
http://www.seattlechannel.org/videos/video.asp?ID=3070839&start=23:32
せっかくシアトルにきたので体験してみた
シアトルに来たので、せっかくなので体験してみました。
サムさんの挑戦にちょっぴり敬意をはらい、最初と最後だけは自分の足を使おうと、朝の開館時間10時にあわせてホテルから中央館まで走り、パスポートをもらいました。最短でも100キロ以上あるコース。もちろん走るのは不可能なので、その足でレンタカー屋さんに行き車をかり、車でまわりました。
パスポートをもってカウンターにいき、スタンプがほしいというと、大げさすぎるでしょ、とおもうくらい大きなリアクションで、「もちろんよ!私たちの図書館にきてくれてありがとうね!」と迎えてくれました。
首からぶら下げた一眼レフを持ち上げながら、何枚か写真を撮っていい?と聞くと、「プリーズ!」とのリアクション。あそこの壁にかかっているのはだれだれの作品よ、とか、外壁が特徴的なのよ、とか、むしろどんどん撮ってくださいなという姿勢。なんでそこまで?と聞くと、「新しい図書館を写真におさめたいというリクエストは数知れないし、それに市民のものだから、あたりまえだと考えているのよ。」と。全館図書館員が合意したポリシーとしてしっかりと根付いていること、そして、「ことなかれ」ではなく、原則OKにしたうえでマナーの文化を創っていくという能動的な姿勢、あらためて感動してしまいます。
市民に気持ちよくスタンプラリーを楽しんでもらうということのために、考えられる全てのことを考えつくしているというかんじがします。スタンプは各図書館のオリジナル。例えばグリーンウッド分館は、林をあしらったデザインのハンコで、緑色のインクをつかったりして、スタンプをおすときにスタンプのデザインについてちょっとしたトークをしてくれたりします。
図書館員によるパスポートプログラムへの感想
あまりにもすべての図書館員がこのプログラムを楽しんでいるようなので、途中、図書館員にこのプログラムをどう思っているのかたずねてみると、すばらしい企画だよね、と即答でした。
ハイポイント分館の図書館員のデニスさんが語るには・・・
港町として世界中から移民が入り、みなとてもフレンドリーなシアトルの町だけれど、それでも慣れ親しんだ地域に閉じこもりがちになってしまうもの。あたらしい移民も、同郷者が集まる居心地のよい地域に入り込むと、その地域から一歩もでないで暮らすようになることも多々ある。せっかくすばらしい町なのに、その町の一部しかしらずにすごしてしまうのはとても残念なこと。
パスポートはもちろん、それをもって世界のいろいろなところにいき、自分の目を開き、あたらしいものにふれ、それまでとことなる体験に自分を発見していくことができるもの。シアトル公共図書館のパスポートも同じこと。このパスポートをもって図書館に来る人たちは、図書館だけを訪ねているのではなく、知らなかった地域をあるき、写真をとり、地域の人と話し、そしてあたらしいものに出会っている。
それが一番すばらしいことだと思うんだ。
・・・と。
シアトルの町は、他の町に比べるとはるかにコミュニティが分断されていない感じがしますが、それでもまだまだ目指すべき目標はあるようです。
デルリッジ分館のシャノンさんが語るには・・・
シアトルの町には、新しい移民もおおいし、その本国の状況をたどっていくと、そもそも図書館というものが存在しない国からきている人たちもたくさんいる。例えば、アフリカ西部から来た利用者の人たちの話では、こちらに来る前の段階では図書館というものがなく、そもそもそのコンセプトも知らなかったみたい。彼ら彼女らにとっては、私たちの図書館が初めての図書館だし、私たちの図書館を通じて図書館という概念を理解しているの。
・・・と。
地域の小さな一分館の活動が、もしかするとアフリカ西部の図書館のモデルにもなる。そのことまで意識しながらサービスをしているシャノンさんの姿勢。”パスポート”というプログラムがコミュティの融和を産み出す。図書館の宣伝を遥かに超えて、コミュニティ構築まで意識しながらパスポートをもつ人を迎えるデニスさんの姿勢。
小さな質問から、期せずしてシアトル大好きなシアトルライブラリアンの心意気にふれてしまいました。
どのくらい市民に受け入れられたのか
どのくらい市民に受け入れられたのかをはかるのは、きっと市民がどのくらい楽しい話題として図書館やパスポートを取り上げているかということなのだとおもいますが、偶然にも、このプログラムがいかに市民に受け入れられていたかを感じさせられるシーンに何度かあうことができました。
最初に訪問したビーコンヒル分館の建物の外で写真を撮っていると、歩いてきたちょっとメタボのおじさんが、この壁のスレートおもしろいよなぁ、と話かけてきました。とても当たり前のように図書館通らしく、どこどこの分館もいい、本館はもちろんすばらしい、シアトルはすごくいい町なんだと熱くかたられてしまいました。道でこんな人にあったのは初めてで、とても衝撃でした。
11番目に訪問したチャイナタウン分館でチャイニーズの図書館員に話を聞いて、別れ際、後いくつのこっているの?と聞かれ16だと答えると、そばにいた利用者のおっさんにニヤニヤと「そりゃーたいへんだべぇ」という感じで拍手されました。周りで勉強したりパソコンさわっていたりする利用者からもニヤリと笑いがもれていました。
22番目に訪問したバラード分館では、妊婦の方が近づいてきて、「プロの写真家さんですか?いやその、パスポートをもって写真を撮られていたので。。。」と丁寧にきかれ、いやいやちがいますよ、ただの素人です、でもライブラリアンです、というと、「あぁ、そうですかぁ!」と根堀葉堀素性を聞かれてしまいました。そして最後には、握手までされ応援されてしまいました。
中央館で写真をとっていると、手を怪我して休業中という感じのおじさんが近づいて、ひくい声で、「上、写真撮ったか?」と聞いてきました。最初きいたときにはおこられたかとおもうようなトーンだったのですが、「ちょっとついてきな」といわれたのでついていくと、上を指差して、「あれの写真をとらなくちゃぁなぁ」と、お気にいりの撮影スポットを教えてくれました。
あちこちで図書館が日常の話題になっている町。図書館が核ととなって話題が生まれている町。それも、借りられた本の話だけではなくて、生活のひとこまの話として図書館自体がトピックになっている町。スタンプラリーの間に触れた光景は、ほかの町ではあまり感じたことのないものでした。
触れた世界は断片の断片かもしれませんが、市民の図書館とはこういうものだと、つくづく感じさせられました。
結果、一応踏破
100キロほどのドライブと、10キロほどのウォーキング&ジョギングで、足早に全館踏破しました。そしておもったこと。この企画、おもしろい!単純ですが。
というわけで、写真スライドショー
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