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2008/12/20

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[Private]ブログ改修メモ

Googleのカスタム検索を使って、レファレンス質問・回答や情報検索の手助けとなるマニュアル類を検索する検索ボックスを以前に作っていたので、追加してみました。

その他、いくつか追加してみました。

詳細はこちらから。


  • カスタム検索(レファレンス質問回答&マニュアル検索)
    主にレファレンス協同データベースを対象とする検索ボックスです。
    参考: レファレンス質問回答&マニュアル検索
     
  • カスタム検索(図書館情報学ニュース検索)
    主にカレントアウェアネスを対象とする検索ボックスです。
    参考: 図書館情報学ニュース検索
     
  • 図書館関係雑誌目次
    国立国会図書館が12月17日にはじめた雑誌記事索引の新着記事情報のRSS配信サービス。このうち図書館関係雑誌について、カレントアウェアネスポータルがRSSフィードを束ねて配信してくれているので、それをRSSフィードのウィジェットに追加してみました。
    参考:カレントアウェアネスポータル > 当サイトで集約している図書館関係雑誌目次RSS集の対象雑誌

  • Meebo
    Meeboは、2007年に日本語も通るようになったIMサービスですが、これを使うとMSN、Google Talk、Facebookなど大手のチャットサービスにまとめてログインしておくことができ、しかも端末にチャットソフトをインストールする必要がないので、米国のデジタルレファレンスでもよくつかわれています。このMeeboのウィジェットを追加してみました。私を知っている方も知らない方も気軽にメッセージをくださるとうれしいです。
    参考:Meebo

  • Latest Headline
    日本語だと3行目の文字がきれてしまいますね。
    参考: Hoctro's Place > "Latest Headlines" Widget

  • Related Posts
    各ポストの下に関連する記事を表示するウィジェットを追加しました。記事単位で表示すると、記事のフッターに関連する記事が表示されます。なかなかうまく動くのがなかったのですが、一応これで解決。
    参考: Blogger.com Related Posts Service

 
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ほとんどの中国人が政府によるインターネットの統制を肯定している

こっちの人と話していると、中国はネットが政府にコントロールされていてよくないという意見をよく聞きますが、情報学校にいる中国からの留学生に聞くと、「べつにいいんじゃない?」という反応がかえってくることが多いです。調査結果によると、実に80%以上の中国人がインターネットは管理・統制されるべきであると考えており、約85%が政府がその役割を負うべきと考えているとのことです。

この調査は、ニューヨークのマークル財団の資金により中国社会科学院が行ったもので、提供しているPew Internet & American Life Projectによると「中国の全ての世論調査と同様、この調査も調査対象者も政府に承認されなくてはならず、また西洋人が期待すると思われる検閲などのトピックについては調査されていない」ものの、「じっくり見ていくと中国人の、いくつかの慎重を期する問題に対する見方が明らかになってくる」ものとなっているそうです。
(As required of all public-opinion polling in China, either the survey or the surveyors must be approved by the government, and some topics that Westerners might have liked to see addressed directly, such as censorship, were not. But a close reading of the results and findings highlights the Chinese perspective on some sensitive issues.)

詳細はこちらから。

Most Chinese Say They Approve of Government Internet Control
http://www.pewinternet.org/PPF/r/246/report_display.asp
3/26/2008

「慎重を期する」らしいので一部を取り出すのもどうかという感じですし、しかも子どもの安全を守る話と、政府情報や言論の自由などの話が混在して語られているので、注意する必要はありますが・・・、でも取り出してみると。

まずネットに対する捉え方としては、

  • この4年でオンラインコンテンツを信頼できると思っている人は全体で52%から26%に減少している。ネットユーザは30%が信頼できるとし、非ユーザは18%が信頼できると回答している。
  • どのようなコンテンツが信頼できるかについては、政府からの情報が圧倒的に支持され、以下メディアからの情報(46%)、検索エンジンの結果(28%)、掲示板や広告(11%)、個人ウェブサイトからの情報(4%)、チャットの書き込み(3%)となっている。
  • 93%のネットユーザが、ネットコンテンツは子供には不適切と考えている。
  • ネット利用の悪影響として、中毒になる(61%)、ポルノ情報に影響される(61%)、悪友を作りやすい(43%)、個人的情報が危険にさらされる(42%)などとなっており、非ユーザほどこれらに対する懸念を強く持っている。

となっているそうです。

またそれに対する解決策については、

  • 84%がネットは統制・管理されるべきであると考えており、この数値はこの数年ほとんど変わっていない。ただしこれについてはネットに対するネガティブな報道の影響も考慮する必要がある。
  • 統制されるべきネットコンテンツとしては、ポルノ(87%)、暴力(86%)、スパムやジャンクメール(83%)、広告(66%)、個人に対する誹謗中傷(64%)、チャット(26%)などとなっている。政治(politics)に関する情報は2005年に8%から41%に増大している。
  • ネットの統制・管理に責任を担うべきなのは、政府(85%)、ネット関連会社(79%)、親(68%)、学校(64%)、ネットカフェ(59%)である。

となっているそうです。

これに続いて、なぜ中国人がネットに対して否定的な考え方を持っているのか、なぜ政府が統制するべきと考えているのかなどについて考察しています。報道の影響が大きいとみているようです。

全体的に中国の情報政策に否定的な論調なのは、米国の他のレポート変わりません。
 

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信用できる情報源は政府ウェブサイトよりも図書館である

ブッシュ政権下の”情報政策”の結末なのか、米国の政府ウェブサイトは鵜呑みにしてはいけないという認識が広く浸透しているようですが、一方で、図書館は最も信用できる情報源としての地位を築いています。図書館がこのような地位を確保している理由はなんなのか、考えてみる必要がありそうです。

詳細はこちらから。
 
The IMLS National Study on the Use of Libraries, Museums and the Internet
http://interconnectionsreport.org/



このグラフは、人々が意思決定や問題解決の際に、公的に情報を入手できる機関中どの機関がもっとも信用できる情報源であると考えているかを比較しています。もっとも信頼できる情報源を5とする5段階評価で、成人1716人の回答結果をまとめたものです。これによると、トップが図書館で、続いて博物館、文書館・歴史協会、系譜学会がランクインしています。政府ウェブサイトは大きく引き離されてこの下に位置し、バイアスや主観がはっきりと許容される商用サイトや個人サイトに近い値になってしまっています。

この調査では続いて、以下のようなことを明らかにしています。

  • 図書館や博物館の利用頻度と、それに対する信用について相関関係がある
    人々は図書館等が信用できるので活用し、活用している人ほどますます信用する傾向があるとのことです。
  • 図書館等の情報について、遠隔サービスを利用して入手した情報よりも、直接来館して入手した情報のほうをわずかに信用している
    実際の値は直接来館4.62に対し遠隔サービス4.48(図書館)なのでともに高い信頼を確保しています。
  • 図書館、博物館、インターネット情報の利用は相互にさらなる利用を刺激している
    人々はどれか1つの情報源に頼るのではなく、複数の情報源(人からの情報、本、新聞、雑誌、インターネット、テレビ)を組み合わせて使い、利用するメディアの数は平均2.4になるそうです。

  • インターネットは情報源であると同時に、他の情報源の利用を刺激する触媒として大きな働きをはたしている
    特に図書館や博物館は、インターネットの拡大後も来館利用が増加していますが、これはインターネットへの情報提供を通じて実現されているようです。


このリサーチからだけでははっきり結論づけることはできませんが、バイアスのない蔵書構築の追求、新聞・雑誌・デジタルメディア・インターネットなどの様々なメディアの提供などが、図書館の信用構築に寄与していることが、なんとなく推察されます。

信用(Trust)は情報源の活用の際に重要な要素ですが、日本の図書館の信用はどのような値でどのような理由によるのか、興味あるところです。

参考:
オンライン時代,図書館と博物館はどのように使われているか?
http://current.ndl.go.jp/e765

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ブロガーが知っておくべき12の米国の法律

他人の国で暮らしていると、法律の仕組みがよくわからないので、しらずしらずに法律違反をやってしまっているのではないかと不安になることがあります。米国でブログは、日本ののどかな日記のようなブログと違い、はやくから政治性、経済性を帯びているので、法律に対する意識も高いようです。ブロガーが注意を払っておくべき法律情報をまとめた記事として、「Blog Law - 12 Important U.S. Laws Every Blogger Needs to Know」というものがあります。

詳細はこちらから。
Blog Law - 12 Important U.S. Laws Every Blogger Needs to Know
http://www.avivadirectory.com/blogger-law/

ここで取り上げられている12のトピックは以下のとおりで、それぞれについて関連する米国法と、トラブルを回避するためにしてはならないこと、守るべきこと、考えておくべきことをまとめています。(ここで提供されているのは、個別事例に法律の適応を判断する”法律相談”ではなく、あくまでブログを始める人の助けになるような”法律情報”の提供です。)

  1. 報酬を得て書いていることをあきらかにすべきか
  2. ディープリンクは合法か
  3. 画像、サムネールの合法的利用
  4. コンテンツの盗用を防止する法律
  5. ドメイン名の商標問題
  6. 読者の個人情報の取り扱い
  7. ユーザが作成したコンテンツを所有するのは誰か、削除できるのは誰か
  8. ブログコメントの監視義務と法的責任
  9. ブログに関する基礎的な税法問題
  10. 有限責任の法と法人化
  11. スパム法とどの未承諾メールが合法か
  12. ブロガーは報道守秘権法に守られるのか
例えば、この数年で個人によるブログが信用できる情報源として商品の売れ行きを左右するほどになってきている状況になっていますが、これに関しては、連邦取引委員会が、それぞれの記事が報酬を得て書かれているものなのかそうでないのかを峻別するよう、2006年12月に勧告を出しています。ただし、実際この勧告がどの程度厳しいもので罰則をともなうものになっていくのかは明確ではありません。”1.報酬を得て書いていることをあきらかにすべきか”では、このような状況を整理し、トラブルを回避するための方法として、

  • もし報酬を受けて情報を提供しているのであれば”客観的”で”バイアスのない”情報源であると言ってはいけないこと
  • 広告とそれ以外を明確に区別すること
  • リンクについては連邦取引委員会の勧告が言及していないようだが他の議論の動向に注意すること
をト示しています。

ここで触れられている12の項目のうち、”7.ユーザが作成したコンテンツを所有するのは誰か、削除できるのは誰か”、”10.有限責任の法と法人化”については、法律が整備されており対応がわかりやすいですが、それ以外のほとんどの項目については自明でない点が多く、ブロガー各々が注意深く判断していく必要があるようです。

あくまで米国の2007年当時の状況をまとめた記事なので注意する必要がありますが、日本の法律情報についてもこのように整理されていると日本のブロガーも活動がしやすくなるかもしれません。
 
*よくまとまった情報があれば教えてください。SNSについてはないのでしょうか。。
 

2008/12/19

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図書館でGPSを借りて宝探しに出かけよう:ローリングメドーズ図書館の家族向けプログラム

図書館で借りられるものはもはや本だけではなく、図書館によっては、楽譜や地図、音楽CDや映画DVD、コンピュータゲーム、あるいはノートパソコンやプリンターやスキャナなど、様々なものを貸し出してくれます。イリノイ州にあるローリングメドーズ市にある公共図書館では、GPSの貸し出しをしています。

詳細はこちらから。
 
Rolling Meadows Adventure Pack
http://www.rmlib.org/adventure_pack.htm



View Larger Map


ローリングメドーズ市は、シカゴ国際空港のすぐ北西に位置する、人口約25,000人で、世帯数約9000のうち約3000世帯に18歳以下の子どもがいる街です。この街の公共図書館であるローリングメドーズ公共図書館が、ローリングメドーズアドベンチャーパックという、主に家族をターゲットにしたプログラムを開始しました。これは、図書館が、家族で地域のハイキングを楽しんでもらおうと、バッグパック、GPS、地域情報ファイル、データCD、ポータブルCD、双眼鏡のセットを貸し出すというもので、家族のふれあいや、子どもたちに地域のことをもっとよく知ってもらえること、GPSなどの新しい機械の使い方に慣れ親しんでもらうことなどを狙いとしています。

サービスのヒントとなったのは、2000年に米国で誕生したジオキャッシング。このジオキャッシングとは、GPSとインターネットを利用して地球規模で行われている宝探しゲームで、キャッシュと呼ばれる宝物を誰かが隠し、そのヒントや位置情報をジオキャッシングの公式サイトに掲載し、それを誰かが探しに行くというアウトドアゲームです。ここからヒントを得て、この図書館では、地域の歴史やトリビアをまとめた情報ファイルを作り、家族でハイキングをしながら探してもらうものにアレンジしました。

2008年ALA年次大会でたまたま担当者の図書館員のポスター発表を聞くことができました。図書館にとっても、地域のことをもっとよく知る機会になり、特に参加者から新たなトリビアやハイキングコースの案などが寄せられ、どんどん情報が集まる仕組みになってきたとうれしそうにお話されていました。ポスターセッションには、子どももプレゼンテーターとして参加し、熱心に、とてもわかりやすく説明していました。お話を聞いた時点では、200組の利用を目標に200個の素敵なプレゼントを用意しているとのことですが、夏が終わり果たしてプレゼントは売切御免となったのでしょうか。気になるところです。



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本でクリスマスツリーをつくろう

ピッツバーグでも最近ちょっぴりうざいくらい街にクリスマスソングが流れ、商店街やモールはクリスマス一色です。図書館などでもいろいろな飾りが見られますが、本で作ったとても創意あふれる文学的なクリスマスツリーを写真で見かけました。
 
詳細はこちらから。
 
あまり使われないレファレンスブックで作ったらしい本のクリスマスツリー。大学図書館より。Library christmas tree 2006



小説で作ったクリスマスツリー。公共図書館より。A novel Christmas



みんなの力をあわあせてつくったようです。公共図書館より。Come see the Book Tree!



とっても文学的。
Second time around



ツリーの空間を作る本。光がいいですね。books make room for christmas tree



 
本で門松は作れるかなとおもいましたが、難しいでしょうか。鏡餅は簡単すぎ?フトドキモノといわれそうですが。
 
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Ningを使った会議運営:レファレンスルネッサンス

マーク・アンドリーセン氏がCTOを勤め、10月には50万のSNSが立ち上がったと報じられたNingですが、図書館界でもその試用が行われています。8月4-5日にコロラド州デンバー開催されたレファレンスサービスに関する会議”レファレンス・ルネッサンス:現在と未来のトレンド(A Reference Renaissance: Current and Future Trends)”で、私も初めてその活用事例を体験してきました。
 
詳細はこちらから。

A Reference Renaissance: Current and Future Trends
http://www.bcr.org/referencerenaissance/
 
会議は、BCR主催、ALAのレファレンス及び利用者サービス部会(RUSA)やTutor.comなどの協賛によって行われたもので、レファレンスサービスの現状把握とこれからあり方を考えるものでした。日本ではレファレンスサービスがこの数年ようやく盛り上がりを見せ始めているという状況ですが、米国では、まことしやかに「レファレンスの死」というフレーズが聞かれます。この風説にたいして、伝統的な電話、電子メール(すでに”伝統的”と!)、対面でのレファレンスサービスのほか、インスタントメッセージング(IM)、テキストメッセージング(SMS)、ブログ、Wiki、MySpaceやFacebookなどのSNS、Second Lifeなどでのバーチャルレファレンスデスク設置などの新しい動きを整理し、これからのサービスのあり方を模索しようというのが会議の趣旨でした。

参加者は、公共図書館員、大学・研究図書館員、学校図書館員、学術研究者など、様々な館種の図書館のレファレンスのプロの方々で、その数は500人を超える、この分野の会議としては大変大きな規模のものでした。会議は全体として、現在の、圧倒的多数の”アマチュア”による情報発信と、同じく圧倒的多数の”アマチュア”によるフィルタリングが情報社会をリードし始めた現状において、従来のいわゆる”レファレンスツール”に頼るレファレンスサービスは相対的に縮小し、人々のネットワーキングを促し、知恵を生み出す会話を促していくのがこれからのレファレンスサービスの役割になるのだ、という方向に議論が形成されているようでした。主催者側の思想がそういうものなので、そういう基調になったという印象もありましたが、ネットワーキングがレファレンスサービスの重要な要素になっているという認識は、少なくともこの会議では広く受け入れられていました。
 

Ningを使った会議運営


ネットワーキングをITを使って実現する昨今の流れを踏まえ、この会議でも、2007年2月にバージョンアップしサービスが安定してきたNingを活用し、専用のSNSを立ち上げ、参加者が技術に触れる機会を設けていました。会議の参加募集と同時に、参加者は自主的にNingに登録するように案内され、多くの人が”レファレンス・ルネッサンスSNS”にメンバー登録していきました。左のイメージが、SNSの画面キャプチャです。
 
右カラムのGoogleの広告の下に見えるKris Johnsonさんが、このSNSの発案者であり、作成者であり、管理人です。彼女の働きかけによって、様々な情報交換・共有が行われました。例えば、

  1. 地元デンバーの図書館員による現地観光情報の提供(左カラム中央部地図)
  2. ジョギング、ハイキング、サイクリング、食事会、ヨガなど、会議外の交流会の案内
    (高地トレーニングのメッカなので、ジョギングやハイキングにもそれなりの参加者があったようです。私は残念ながら参加できませんでした。)
  3. 会議参加者からのデンバー周辺の風景写真等の提供(左カラム上部)
    (私も飛行機の上から撮った写真を載せてみました。)


    Find more photos like this on Reference Renaissance Conference Online Community


  4. 会議に参加したブロガーが書いた記事の情報共有(中央カラム下部)
  5. 会議参加者のコンタクトインフォメーションや顔写真の共有
    (私も顔写真やコンタクトインフォメーション、日本人であることなどの情報を掲載してみました。会議中、他の日本人参加者から「昨夜SNSで検索して見つけて、探してたんですよ」とお話をいただいたり、メールを頂戴したりしました。)

などが行われていました。

会議中、他の参加者に聞いてみたところ、米国といえどもベテランのレファレンスライブラリアンの間ではSNSの利用はそれほど活発ではなく、今回のこの試みを通じてSNSの有効性を実感した人も少なからずいるようでした。また、この会議を機に、SNSを通じた”新しいレファレンスサービス”の実践を試みようと考えた人も少なからずいるようでした。

図書館界の会議でITの活用が前面に出てくると、技術の壁の前に多くの参加者が疎外感を感じてしまいがちですが、Ningを活用した会議参加者SNSは、参加者に技術への接触機会を提供し、議論の空論化を防いでいるように感じました。また多くの参加者が事前・事後に情報を共有し、会議の内容が何倍にも濃くなったように思いました。さらに、この会議という期間限定の閉じられたSNSは、参加者が気軽に積極的に参加しやすく、会議を通じたネットワーキングを活発化に成功しているように思いました。
 
Ningはすでに日本語化されているので、なにかの機会に試してみたいものです。
 
参考:
Ning
http://www.ning.com
SNS作成ツール「Ning」が登場(IT Media News)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0702/28/news022.html
 
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米国図書館協会年次大会2008:現地レポート

米国図書館協会の年次大会は、この数年、万単位の来場者数を誇っている米国図書館界最大のイベントです。カリフォルニア州アナハイムで開催された2008年の年次大会も2万人を超える来場者があり、大変な盛り上がりを見せていました。
 
詳細はこちらから。
 




情報のプロによる情報のプロのための会議


ALAの年次大会に参加してのもっとも強い印象は、この大会が、「情報のプロによる情報のプロのための会議」なのだということでした。図書館は、膨大な情報を、分類や主題などのメタデータの付与による整理、物理的空間の設計、人的サービスや最新の情報技術の利用などを通じて、いかにしてわかりやすくその情報を必要とする利用者に届けるのかと追求するものだと思いますが、今回会議の「利用者」として参加してみて、その図書館の基本が会議の隅々に徹底して実践されているのが印象的でした。

まず、初めて参加する人のために、それぞれの部会やラウンドテーブルが新人の勧誘も兼ねて大会全体の案内をしてくれる、101というセッションがあります。今回の年次大会は、アナハイム・コンベンションセンターのほか,隣接するヒルトン、マリオット、ディズニーランドホテルなどの会議施設も使用しており、同時並行で数十の会議プログラムが行われ、自分がどのプログラムに参加するべきなのかを決定するだけでも、とても悩ませられます。そんな初心者のために、部会やラウンドテーブルの101では、それぞれが力を入れているプログラムについて大まかな説明が行われ、なんとなく、「これは絶対に行ったほうがいい」、「これはやめておこうか」といった判断が、ある程度つけられます。そのほか、会場間の移動の方法、飲食などの情報、部会等のラウンジの場所なども案内されます。私もLAMA(Library Administration and Management Association)やIRRT(International Relations Round Table)など2、3の101に参加し、うまく会議の内側へといざなってもらえました。このほか、アナハイムコンベンションセンターの入り口正面にはインフォメーションデスクが設けられ、また各所に案内人が配備され、アフターで利用する飲食店情報などについてはホテルなどのコンシェルジュと連携してサービスを提供するなど、当然のように行われていました。図書館は、初めて入ってくる人でも自然とカードを作りなじんでもらえるように工夫するものですが、そういう技術が会議でも活きるのだなと感じさせられました。

また、情報のプロが参加者の会議として、参加者の情報発信を最大限に活かすように考えられています。会場の全てにおいて無線LANが通じていて、参加者は会場のあちこちでノートパソコンを広げ、随時ブログに情報をアップしたり、チャットやインターネット電話で連絡を取り合ったりしていました。特に印象的だったのが、Flickr上での写真の共有でした。運営者サイドから、"ALA2008"のタグとともにFlickr上で写真を共有しようと呼びかけがあり、参加者はそれに応えて多くの写真を次から次へとアップしていました。
(共有された写真はこちらのURLで見れます。http://www.flickr.com/photos/tags/ala2008/)。

さらに、会議資料や会議の討議内容などは、特設のWikiサイトに共有することが勧められていました。一部のベンダーなどでは会議資料をネットで配信しないという方針のところもあるようでしたが、多くの資料が大会前あるいは大会期間中にWikiにアップされていました。
(このWikiサイトは、以下のURLで見れます。http://wikis.ala.org/annual2008/index.php/Annual_2008

大会期間中の会話の中でも、「Flickrに写真アップする?やり方わかる?」「Wikiって初めて使ったわ」などといったやり取りがあり、会議の場を通じたこのような実践を通じて、有効性が確認され、使い方の情報交換が行われ、各図書館でのWeb2.0技術の導入につながっているのだなという印象をうけました。

図書館界の産業力


圧倒されたのは、展示会場の規模でした。米国の図書館産業が大きな力を持っているのは前から認識していましたが、”たかが”図書館の大会に、ここまで様々な会社が集まってくるということに、カルチャーショックを受けてしまいました。特に、出版社、電子ジャーナル関連の会社、デジタル化の機器関連の会社が軒並み参加しているのはもちろんのこと、図書館情報学校のパビリオンや、マンガやゲームのパビリオンの活況ぶりは、日本との大きな違いを感じさせられました。
 
マンガやゲームは、子どもたちを図書館と結びつけるためのその1つの手段として、あるいは読み書き能力や社会性を身につけさせるための手段として、近年注目されています。会場には、子ども連れの姿も多くみられ、子どもたちがゲーム・パビリオンで、ゲームに興じ、それを大人の図書館員たちが説明を受けながら眺めているという様子が常に見られ、図書館員の関心の高さが感じられました。
 

参考:
2008年度ALA年次大会 <報告>
http://current.ndl.go.jp/e816