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2009/01/10

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ワシントンD.C.公共図書館の蔵書がiPhone専用アプリから検索可能に

米国に来てからすっかり携帯電話依存症から開放されほっとしていますが、そんな中、iPhoneからワシントンD.C.公共図書館の蔵書検索ができるようになったというニュースを読みました。(左の画像はThe 56 Geeks Projectより。)

同窓生が携帯OPACの開発をがんばっていたのを懐かしく思いつつ。
 
詳細はこちらから。
 
DCPL iPhone application ready for download (Walking Paper)
http://www.walkingpaper.org/1100
 
ダウンロード→ here

現バージョンでは、利用者は、

  • 蔵書を検索する
  • 表紙カバーをみる
  • サマリーを読む
  • ピックアップできる場所をみつける
  • 開館時間や場所や電話番号などをチェックする

ことができるそうです。


 

 
このアプリはワシントンD.C.公共図書館のCIOのChris Tonjes氏が集めた研究スタッフのチームがつくり、コードも近々公開するそうです。意見・感想受付中だそうです。
 
ちなみに、Chris Tonjes氏の自己紹介によると東京で働いていた経歴もあるようです。
 

2009/01/09

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ピッツバーグ大学の政府刊行物コレクションコーナーの写真を撮ってみた

学期初めの零下5度の夜、利用者もいないだろうと見込んで、政府刊行物寄託図書館であるピッツバーグ大学ヒルマン図書館の政府刊行物コレクションコーナーの写真を撮りに行ってみました。
 
詳細はこちらから。
 
Hillman Library Government Publication Collection
http://www.library.pitt.edu/libraries/govdocs/govdocs.html



政府刊行物コーナーは、グランドフロアの入り口を入ったカウンターの裏の奥まったところにあります。広いオープンスペースがあるこのコーナーは、普段は学生に人気の学習スペースで、政府刊行物に囲まれているせいか、なぜか静かに勉強する学生があつまります。この日はさすがに閑散としてました。
 


政府刊行物は、電動式集密書架に収められていて、書架には”U.S. Government Publications”のサインがはられています。この電動式集蜜書架、本来の床の上に導入されていて、つくりが柔いのか、通路を歩くと床が気持ち悪いきしみ方をして、三半規管の弱い私はすぐに気持ち悪くなります。


ところどころに政府刊行物寄託図書館のマークが張り出されています。


政府刊行物は"SuDoc"(The Superintendent of Government call number)と呼ばれる請求記号が割り振られ、これに基づいて配架されています。独特なので、解説が書架に張り出されています。


ちなみに、主な政府省庁の略号はこんな感じです。


From "Understanding the Superintendent of Documents (SuDoc) Call Number system for U.S.Government Publlications"

司法、行政、立法の機関のほかに、政府系の独立機関の出版物も対象となっており、たとえば国立公文書記録管理局(or 国立公文書館:NARA)にはAEという略号が割り振られています。AEのコーナーに入っていくと、クリントン政権、ブッシュ政権時代などにNARAから出版された刊行物が並んでいます。NARAは機密文書も保管する機関で、ブッシュ政権下でも論争があったところですので、この書架あたりのどこかが・・・。


一部の資料は寂しげに反対側の壁際にキャビネットに納められて眠っています。

 
(追記予定)
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ピッツバーグの連邦政府刊行物寄託図書館を探す


米国の、連邦政府刊行物寄託図書館制度(Federal depository library Program: FDLP)は、日本の状況からは想像が難しいほど大規模なもので、寄託図書館は全米に約1250館存在します。ペンシルバニア州だけでも50館以上あります。ピッツバーグには、ピッツバーグ大学図書館とピッツバーグ公共図書館(Carnegie Library of Pittsburgh)だけかと思い込んでいたのですが、実はほかにもあるそうなので、調べてみました。
 
詳細はこちらから。

About the Federal Depository Library Program
http://www.gpoaccess.gov/libraries.html

GPOのウェブサイトから連邦政府刊行物寄託図書館を探すページ”Locate a Federal Depository Library (FDL)”にいくと、クリッカブルマップと検索ボックスが見つかります。

クリッカブルマップのイメージ


ペンシルバニア州のPAをクリックすると、53館の寄託図書館のリストがずらりと出てきます。州都ハリスバーグの公共図書館のほか、大学図書館、公共図書館など、寄託図書館に指定されている図書館の種別は様々です。最初のリストは寄託図書館番号順に並んでいるので、市の名前順に並び替えると、ピッツバーグの7館が簡単に見つけられます。

検索ボックスの方で"Pittsburgh"で検索した結果は以下のとおり。ピッツバーグ大学、ピッツバーグ公共図書館のほか、デュケイン大学、国立職業安全衛生研究所(NIOSH:The National Institute for Occupational Safety and Health)のピッツバーグ研究図書館などの名前が見られます。



連邦政府刊行物寄託図書館と、その所蔵する連邦政府刊行物が、なんだかとても身近な存在です。
 
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合衆国政府印刷局(GPO)の歴史を紹介する動画

”Keeping America Informed”という合衆国政府印刷局(GPO)のモットーをどうやって邦訳したらいいのかなと思うのですが、「アメリカを情報通に」とでも訳すと一番近いんでしょうか。連邦政府刊行物寄託図書館制度(FDLP)を通じて積極的、能動的な政府の情報生産と配信"Dissemination"とアクセスの保障を担ってきた印刷局は、「知りたければ聞いてね」、というような控えめな姿勢ではなく、積極的に国民を情報通にする役割を担ってきています。私たち図書館員はよくわかっていますが、情報の存在を知らなければ質問もできるものではないので、この積極的、能動的な情報配信の姿勢はすばらしいものと思います。

そんなGPOの歴史を簡潔に振り返る動画が公開されていました。古い写真資料などを豊富に使っています。トランスクリプトも載っています。未来も「アメリカを情報通に」し続けるにGPOはどうあるべきなのでしょうか。未来のあり方を考えるには歴史から。

詳細はこちらから。

GPO Media Kits
http://www.gpo.gov/news/index.html



参考
GPO(米国政府印刷局) カレントアウェアネスポータル
http://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/138

2009/01/08

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タイムシェアリングからインターネットの誕生までを振り返るアニメーション

タイムシェアリングからファイルシェアリング、ArpanetからInternetまで、インターネットの誕生までを簡潔に振り返るアニメーション。8分10秒。

詳細はこちらから。

“History of the Internet” video…01.07.09
http://lonewolflibrarian.wordpress.com/2009/01/07/history-of-the-internet-video010909/


History of the Internet from PICOL on Vimeo.
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ピッツバーグ大学図書館、検索システムにAquaBrowserを採用:試用レビュー

ピッツバーグ大学図書館の蔵書検索システムがAquaBrowserを採用した新システムへの移行を進めています。2009年春学期の期間はBeta版としての運用で、旧システムと比較しながら使うことができます。プレリリースした先学期半ばから、図書館情報学の学生たちには、この新旧システムを比較せよという課題があちこちの講義で出ています。学生たちは、「前のに比べたら、新システムのほう断然いい。」と一応結論づけるのですが、本音を聞くと、「どう利用者に教えていいのかわからない」など、ライブラリアンの卵たちのリアクションは微妙です。

詳細はこちらから。

PITTCat+
http://pittcatplus.pitt.edu/
(ピッツバーグ大学関係者でなくても使えます。)



Beta版PITTCat+は、最近リリースされたソーシャルネットワーキング機能などは導入されていないので、ベーシックなAquaBrowserの検索インターフェースです。上の画面は、ベタに"Public Library"と入れたときの結果画面です。中央カラムが検索結果で、左右に再検索を補助する機能があり、左カラムが”ワードクラウド”、右カラムが”ファセット”です。

中央カラムの検索結果は、Googleなどの検索システム同様、検索語との関連度に応じて上から表示します。さすが”Public Library”では、54,283件がヒットしています。結果の並べ替えも可能で、”Year”、”Title”、”Author”のアルファベット順で並び替えすることができます。

例えば、公共図書館に関する本の中でも、特に、「アンドリュー・カーネギーの米国の図書館にもたらした影響についての本が欲しい」とすると、この54283件の中から検索結果を絞り込んでいかなくてはならないわけですが、ここからいろいろなアプローチが考えられます。

例えば・・・

1)"Andrew Carnegie"という検索語を加える。これだけでもいろいろなバリエーションがあって、ダブルコーテーションをつけるとか、検索語を"Library"と"Carnegie"などのように減らすとか、いろいろすると検索結果も異なります。

2)左カラムから絞ることを考える。この絞込みは、黒字のAssociation(共起語)、赤字のSpelling Variation(スペルのバリエーション)、緑字のTranslation(同義語、翻訳語)で考えていきますが、今回のようなケースでは、どれもあまり意味がありません。こんな分野の本があるのかぁと眺める程度です。

3)右カラムのファセットから絞ることを考える。このファセットという言葉が一般にはわかりにくいですが、要は、いろいろな方法で検索結果を分けるということで、利用形態(書架にあるのか、オンラインで利用できるのか)、フォーマット(雑誌記事、本、オンライン資料、雑誌・新聞、ビデオ、マイクロ、etc)、主題(トピック、地域、期間、人物)、資料の言語(英語、日本語、中国語、etc)、などできっていくことができます。この場合は、アンドリュー・カーネギーとの関係なので、人物(Persons)を選んで、そこから名前を探していくと、最終的に12件が残ります。

ヒット件数との関係で、いろいろな手が使えるので、旧システムより頭を使うんじゃないか、という気がしますが、そこは利用者の自由を尊重するという考えなのだと思われます。利用者には学部生レベルもいれば修士課程、博士課程もいますし、もちろん教授陣もいます。検索語の選定から様々で、その後の思考回路も様々です。「みなさん、自由にやっていんですよ!」ということなのだと思います。

素人にはいいのかも。。。でも玄人には。。。


初心者には、視覚的にも楽しいし、わかりやすくていいでしょという説明で片付けていいのかもしれませんが、問題はその先、学位論文を執筆するレベルになった学生のニーズを満たすレベルになっているのか、という点です。これについては、先に導入したシカゴ大学が、その導入に先立ち学位論文執筆段階に入った博士課程の学生を対象にした調査を行っています。そのレポート"Utility of a faceted catalog for scholarly research"によると、英文学や言語学、音楽など12分野のうち9分野の院生が、従来のシステムでは見つけられなかった関係文献を見つけることができたというエビデンスが出ています。ただこのレポートは、院生に検索してもらってそれを観察しているだけで、被験者が実際どのような思考回路で検索していったのかなどについては深く掘り下げておらず、なんとなく導入推進派の調査結果のような印象がないわけではありません。


(From Utility of a faceted catalog for scholarly research)

このレポートの中でも報告されている、ファセットの主題やトピックのところがわかりにくいといった指摘は的を得ていますし、グラフィカルなワードクラウドもスペルチェックなどには役に立ちますが、使いこなすにはシステムの裏側をすこし把握する必要があるようにも思います。

検索結果ごとにRSSフィードを設置でき(画面右上)新着図書を把握できる、大学の電子図書館コンテンツも統合的に検索できる、といったメリットもあり、また今後、すでにリリースされている個人ポータル機能やソーシャルネットワーク機能などの追加の可能性もあるのですが、さてさて、実際使う学生、そしてそれを案内する図書館員の反応はどうなるのでしょう。
 
個人的には、クラスタリング技術が好きなので、それが統合されればなかなか良いシステムになるのではないかと思うのですが。

ピッツバーグ大学図書館からの報告が待たれるところです。

参考:
AquaBrowserに新たなコミュニケーション機能(カレントアウェアネス-R)
http://current.ndl.go.jp/node/8307
 

2009/01/07

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HAPLRランキングトップの公共図書館トゥインズバーグ公共図書館:現地レポート

トゥインズバーグ公共図書館は、全米の公共図書館ランキングの1つであるHAPRL(Hennen's American Public Library Ratings:ヘンネン米国公共図書館評価)において、毎年トップクラスに位置している公共図書館です。人口17000人の小さな町ですが、2006年には貸出数が100万点を越えました。この活況ぶりの実際を見、またその秘密をさぐるべく、見学に行ってみました。

Twinsburg Public Library Annual Report 2007

詳細はこちらから。
 
Twinsburg Public Library
http://www.twinsburglibrary.org/newweb/



HAPLRランキングトップの実績


米国の全国規模の公共図書館統計の代表的なものとして、米国図書館協会公共図書館部会の公共図書館データサービス(Public Library Data Service: Statistical Report(PLDS))と、米国教育統計局の連邦・州共同システム(Federal-State Cooperative System(FSCS))という2種類があります。比較的支持されているのは前者PLDSのほうで、後者FSCSのほうは、データの項目立てが古い、更新速度が低い、などの批判があり、今後の改善が期待されるものです。しかし、貸出冊数、蔵書冊数、回転率、レファレンス件数、職員数などの伝統的な項目については、信頼できる情報源であることは間違いありません。

このFSCSをベースにして、図書館のサービスの現状を統計数値で固く比較し、図書館のランク付けをしているものに、HAPLRというものがあります。これは、ウィスコンシン州ワウケシャ郡統合図書館システムのディレクター兼図書館コンサルタントのヘンネン(Thomas J. Hennen Jr.)氏が、1999年から行っているもので、毎年サービス対象人口の規模別にランキングを発表しています。

指標として使用しているのは、歳出額、資料購入費、フルタイム換算の職員数、雑誌、来館者数、回転率、レファレンス件数など15項目で、これらの項目を、左表に見られるような重み付けをして算出しています。ここには音楽や映画、相互貸借点数、インターネットサービス、コンピュータの台数など、比較的新しいサービスで、現状比較妥当性のある統計データが手に入らない項目は評価の対象になっていません(HAPLRの算出方法)。

トゥインズバーグ公共図書館は、このランキングの人口1万人規模の枠で、1999年1位、2000年8位、2001年4位、2002年2位、2004年1位、2005年2位、2006年1位、2008年1位と毎回トップランクに位置しています。

見学ツアー


館内をふらふらと歩いていると、ティーンサービスの担当の図書館員が話しかけてくれました。いろいろと雑談をしていると、「それだったら館長に見学ツアーをしてもらったらいいわ。」とオフィスに連れて行ってくださいました。あいにく館長は不在でしたが、代わりに副館長が館内を案内してくださいました。こういう柔軟な優しさは心にしみます。

さすが貸出において実績のある図書館であるだけに、館内のレイアウトや資料の見せ方などさすがです。入り口から正面にのびる通路の左側はすべて貸出カウンターになっており、存在感があります。また、DVDやCDなどの見せ方はショップのようで、このコーナーには常に人がたくさんいました。

カウンター。左側がカウンターで、右側がコンピュータールームです。


DVD/CDラック。ちなみに音楽・映像資料はHRPLRのランキングには影響しません。


育児資料コーナー。子供部屋を窓越しに覗くことのできます。妊婦さんなどに優しい感じのソファがおかれていました。




子供の遊び道具。プラスチック製のもので、おやとおもったのですが、近所にSTEP2Little Tikesが拠点を置いており、開館時に寄贈されたそうです。


暖炉スペース。大活字本コーナーのすぐ近くにあります。



児童サービス


トゥインズバーグは人口17000人ほどの町ですが、18歳以下の人口が全体の26,7%をしめます。公共図書館のすぐ近くに地元の高校が立地するなど、子供の利用が多いのが特徴です。このための図書館では2003年に児童コーナーを拡大し、児童サービスの充実を図っています。拡張して今の姿になっているため、少し奥まったところに完全に仕切られて設置されていますが、入り口を入っていくと子どもが元気に騒げそうな楽しげな空気の部屋になっていました。飾りつけなどは、図書館員やボランティアが一緒になってわいわいやっているそうです。

児童室のカウンター。


写真スライドショー




感想


この小さな町でこれだけの規模の図書館を持つことができること自体すごいことですが、それ以外にもランキングトップの秘密があるに違いないと、いろいろと観察したり、副館長さんや他の図書館員さんに質問してみたりしました。

・・・が、特別に目立つ理由は見えてきませんでした。

建物が新しくて愛らしいですし、空間設計は上手ですし、ディスプレイはわかりやすく丁寧ですし、図書館員はとてもフレンドリーですし、そういうことはもちろんあるのだと思うのですが、今まで見学してきた他の公共図書館にくらべて、特になにかずば抜けているという感じはせず、伝統的に言われてきているよい図書館のあり方を、1つ1つ丁寧に誠実に追求しているように感じました。逆に、この堅実さこそがこの図書館の強さなのかもしれません。
 
近隣の図書館の集会などでもよく使われるらしく、オハイオ州のよいモデルになっているそうです。
 

2009/01/06

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公共図書館でのゲームトーナメント開催のいきさつ:アナーバー地区図書館

米国の図書館で急速に広まったゲーム関連サービスですが、公共図書館における主なサービスの柱は3つあります。1つ目は、図書館プログラムとしてのゲーム関連イベントの開催、2つ目は、ゲームソフトの貸出サービス、3つ目は、ゲーム機やオンラインゲームができるコンピュータなど図書館でゲームをする環境の提供です。このうち1つ目の柱であるイベントの開催において先鞭をつけたのは、アナーバー地区図書館でマリオカートダブルダッシュやダンスダンスレボルーションのトーナメント大会を開催したEli Neiburger(イーライ・ナイバーガー)氏です。このイーライ氏が、トーナメント大会の経験を元に、図書館で何故トーナメント大会をやるのか、何を使い、どのように運営するのかを解説した本「Gamers...in the LIBRARY?!」を出版しています。

詳細はこちらから。

Gamers...in the LIBRARY?!
http://www.alastore.ala.org/SiteSolution.taf?_sn=catalog2&_pn=product_detail&_op=2331

「私の名前はイーライ。オタクです。」


序章でこのように自己紹介するナイバーガーさんは、1979年、5歳の時にアタリ2600を父親からプレゼントされて以来ゲームにはまり1980年代はずっと任天堂にはまり、お小遣いをためてはソフトを買っていたそうです。任天堂のキャラのタトゥも入れている、自他共に認めるゲームオタクです。ミシガン州のアナーバー地区図書館でテクノロジー・マネージャーをしています。
 
日本の図書館でも少なからずみつけられそうなプロフィールです。

「むかしむかし、あるところにビデオゲームがたいそう好きな図書館の技術管理者がおりました。」


1.2でこのような語りで始まるゲーム・トーナメントの話は、2004年に初めてアナーバー地区図書館で開催されたゲームトーナメントの思い出話です。新しく雇ったピンクの髪のタトゥの入ったティーンサービスの女性図書館員(Erin Helmrichさん)の発言から始まったことやら、何を考えてどうやって企画を練っていったのかやら、事のいきさつを紹介しています。

それによると・・・

最初はとにかくゲームに関するサービスを始めようという思いつきから始まり、ゲーム・キオスクの設置やソフトの貸出などを考えたすえ、ゲームトーナメントを開催するという案がひらめいたそうです。それも、実験的な中途半端な企画をするのではなく、観客を巻き込んだ1シーズンかけて行う本格的なトーナメントにしようと思いついたのだそうです。

そして、この偉大なアイデアを実現するべく、地元ミシガン大学のアメフトチームの試合がある日を避けつつスケジュールをたて、体験を共有する場としての図書館らしくゲーム機8台をLANでつなぎ、その環境で動作するマリオカート・ダブルダッシュをトーナメントにつかうゲームに選び、地元の中学校などへの訪問時に子どもたちにトーナメント開催を宣伝し、ブログで子供たちからの質問に答え、そして2004年8月の開催にこぎつけたのだそうです。

景品には、レギュラーシーズンのトーナメントには、優勝70ドル、準優勝50ドル、三等30ドルのGameShopのギフトカードを、そしてグランドチャンピョン大会では、iPodやニンテンドーDSを用意しました。この費用は、図書館友の会からの資金提供でまかなったそうです。

第1回大会には42人の参加者があり、その後毎回2割ほどずつ参加者が増え、最後のグランドチャンピョン大会では、すでに出場の決定した30人のプレイヤーのほか、2枚のワイルドカードをめぐって60人以上の新しい参加者がしのぎを削るほど、大盛況となり、さらに地元のケーブルテレビも来て大会の模様はブロードキャストされたそうです。

「ティーン向けの図書館イベントとして、新しい可能性があることに気がつきました。」


初めてのゲームトーナメントは大成功のうちに幕を閉じましたが、その後もシーズン戦とオフシーズンの大会を開催し、そのたびごとに、子供から大人まで、ギャラリーも含めて多く人が集まっているそうですが、イーライさんたちが考える最大の意義は、ゲーム大会などを通じて図書館に通うことを覚えた子供たちが、図書館のことを気にかけるようになったことだそうです。

子供たちは、ゲーム大会以外のイベントにも顔を出すようになり、図書館にとても情熱的になり、トーナメントについてWikipediaに書き込みをし、”注目に値しない”とWikipediaの記述を削除した他人と議論し、ファンサイトを立ち上げイーライさんをモデレーターに招き、そしてどうしたらイーライさんたちのような仕事に就けるのか質問するようになったのだそうです。

ある親は、今まで図書館に連れて行っても、教会に行くのと同様に受動的だったものが、ゲーム大会を通じて子供たちが積極的な探求者になったと話してくれたそうです。

イーライさんは、ただ単に楽しいことがやりたいだけだそうで、このような効果はいい面にすぎないと控えめにまとめていますが、確かに、アナーバー地区図書館とその利用者にとって、大きな出来事であったことは間違いないようです。

イーライさんの本では、このような体験を振り返り、ゲームサービスを提供する意義や実践的なノウハウを解説しています。
 
参考
AADL-GT(Ann Arbor District Library Game tournament)
http://www.aadl.org/aadlgt

図書館とゲームに関するポッドキャスト(カレントアウェアネス-R)
http://current.ndl.go.jp/node/7661?quicktabs_2=4
 
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図書館情報学分野の大学院ランキング

日本から米国に図書館情報学分野で留学を目指す人はとても少ないと思いますが、この分野で評判のよい大学を探すのは比較的容易です。基本となるツールは、米国図書館協会(ALA)の認定校のリストと、U.S.Newsの"Best Graduate Ranking"です。ALA認定校はGoogleマップでも見られます。U.S.Newsのランキングは、図書館情報学大学院の学科長級の人たちを対象としたアンケート調査に基づいたもので、10ドルほど支払うと詳細なランキングを見ることができます。図書館情報学の中でも、児童サービス関係が強いとか、電子図書館関係が強いとか、遠隔教育が充実しているとか、それぞれ特徴があるので、一通り眺めておくと役に立ちます。
 
詳細はこちらから。
 

米国図書館協会認定図書館情報学校マップ



View Larger Map

U.S.News(2009年版)の米国図書館情報学大学院のランキング上位校



1.University of Illinois--Urbana-Champaign
   Champaign, IL

1.University of North Carolina--Chapel Hill
   Chapel Hill, NC

3.Syracuse University
   Syracuse, NY

4.University of Washington
   Seattle, WA

5.University of Michigan--Ann Arbor
   Ann Arbor, MI

6.Rutgers, the State University of New Jersey--New Brunswick
   New Brunswick, NJ

7.Indiana University--Bloomington
   Bloomington, IN

7.University of Pittsburgh
   Pittsburgh, PA

7.University of Texas--Austin
   Austin, TX

10.Florida State University
   Tallahassee, FL

11.Drexel University
   Philadelphia, PA

11.University of Wisconsin--Madison
   Madison, WI

13.Simmons College
   Boston, MA

13.University of California--Los Angeles
   Los Angeles, CA

13.University of Maryland--College Park
   College Park, MD

16.University of North Texas
   Denton, TX

16.University of Tennessee--Knoxville
   Knoxville, TN

18.Wayne State University
   Detroit, MI

19.Kent State University
   Kent, OH

19.University at Buffalo--SUNY
   Buffalo, NY

19.University of South Carolina--Columbia
   Columbia, SC

19.University of Wisconsin--Milwaukee
   Milwaukee, WI

23.SUNY--Albany
   Albany, NY

24.Catholic University of America
   Washington, DC

24.Louisiana State University--Baton Rouge
   Baton Rouge, LA

24.University of Kentucky
   Lexington, KY

24.University of Missouri--Columbia
   Columbia, MO

24.University of Oklahoma
   Norman, OK

24.University of South Florida
   Tampa, FL

30.San Jose State University
   San Jose, CA

30.University of Alabama
   Tuscaloosa, AL

30.University of Hawaii--Manoa
   Honolulu, HI

 
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リニューアルしたヒューストン公共図書館中央館:ゲームが利用者を惹き付ける

2008年5月に、1700万ドルをかけた改修工事が終わりリニューアルオープンしたヒューストン公共図書館は、静かな図書館のイメージを払拭し、子供を惹き付ける図書館に生まれ変わりました。

詳細はこちらから。

Video Games Help Houston Public Library Attract Visitors
http://www.govtech.com/gt/articles/423565?id=423565&full=1&story_pg=1
昔のヒューストン公共図書館中央館は、4階の一角に児童室があるだけで、決して子供たちが元気よく集まる場所ではなかったそうです。1700万ドルかけたリニューアル後には、ゲームサービスや情報発信の方法などを教えるクラスを開講することにより、多くの子供たちとその親たちが集まる場所に変貌したそうです。

1階には、"Pod Chair"と呼ばれる近未来的なデザインの椅子が並び、その向かいには30インチの液晶ディスプレイが並んでいます。他の図書館のように会議室を開放したりしてゲームの遊び場としているのではなく、オープンなスペースにゲームコーナーを持ってきたとのことで、夏休みなどには、子供たちが朝9時の開館から夜9時の閉館までゲームに熱中する姿が見られたそうです。

ゲームを提供することで本を読まなくなるのではないかという懸念もあったそうですが、そんなことはなく、むしろその逆だそうで、図書館員のKadirさんは、「子供たちは本をまわし読みしています。子供たちは、もし、図書館の入り口を入り『おー!ゲームがあるぜ!天国を見つけたぜ!(‘Oh my gosh. They have games. Oh, I found heaven.')』と言葉を発することがなければ、決して知り合うことのなかった近隣地域の子供たちと友達のネットワークを作っています。」とコメントしています。

この”天国”には大人たちも関心を持っているようで、「私たちのWiiはどこ?」とたずねてくる大人の利用者もいるそうです。今後、特にWiiスポーツなどは高齢者に人気になっていくと期待しているそうです。

同図書館で土曜日に開かれるコンピュータ講座では、画像や動画の撮り方やアップロードの仕方や、ソーシャルネットワークサイトの使い方などを教えていますが、親と子供が一緒に参加し、経験を共有し、親が子供が何をしているのかわかっていく姿が見られるそうです。

ヒューストン公共図書館。ゲームが導入がきっかけで子供たちが集まり、図書館が家族の場としての役割を取り戻したのかもしれません。訪ねた友人が、「たしかにすごい」と言っていたので、ぜひ見学してみたいところです。。 


(From Flickr http://www.flickr.com/photos/houstonlibrary/2585704988/)
 
参考
E693 - テレビゲームを図書館サービスの1つに(カレントアウェアネス-E)
http://current.ndl.go.jp/e693
 
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ニューヨーク公共図書館のテレビゲーム提供サービス

2008年、米国図書館界の10大ニュースにも選ばれるほど、公共図書館界に一気に広まったゲーム関連のサービス。ピッツバーグの公共図書館でも提供していますし、年末に訪問したミシガン州のいくつかの図書館でももはやあたりまえに受け入れられるサービスになった感がありました。ニューヨーク市も例外ではなく、ニューヨークタイムズに取り上げられるなど注目集まる中、新しいサービスに取り組んでいます。

詳細はこちらから。

Game On @ The Library
http://www.nypl.org/news/articles/?article_id=135

ニューヨーク公共図書館で展開している”Game On @ The Library”プログラムでは、教育を目的に掲げサービスを提供しています。楽しく学べる、トライ&エラーで学べる、英語がしゃべれなくても参加できるなど、様々なメリットがあるとしています。

図書館内でのプレイのために、ニンテンドーWiiとプレーステーション3を、ブロンクス、マンハッタン、スタッテンアイランドの18の地域図書館で導入し、またXbox360を、同地域5館で導入しています。

また、貸出用のゲームソフトは92タイトル2500本を所蔵し、貸出期間1週間、予約不可、延滞の罰金1日1ドルで運用しています。
 
参考
E693 - テレビゲームを図書館サービスの1つに(カレントアウェアネス-E)
http://current.ndl.go.jp/e693

2009/01/05

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今年もライブラリアンはベストキャリアの上位30にランクイン

今年もランクインしたようです。U.S.Newsが選ぶベスト・キャリヤのトップ30の2009年版に図書館員が。今年職業満足度の低さからランク落ちした教授職とは対照的に、満足度の高さをキープしてのランクインのようです。

詳細はこちらから。

Best Careers
http://www.usnews.com/sections/business/best-careers/index.html

このランキングは、平均給与、職業満足度、職業訓練難易度、評判、就職市場の5項目を点数化し、ランク付けしているものです。平均給与の多い順にトップ30の職業を並べ替えてみると、図書館員の平均給与は、5万1400ドルで、下から30職業中3番目の数値であるのがわかります。

The 30 Best Careers, 2009's grades on the selection criteria
Posted December 11, 2008


また、職業訓練難易度もBレベル、評判もBレベル、就職の難しさもBないしCレベルと低いスコアにとどまっています。一方職業満足度だけはAレベルになっており、米国の図書館員が自己満足に生きているのがよくわかります。

U.S.Newsの解説では、図書館員が以前のような本の虫としてのイメージは薄れ、ハイテクな情報検索職に変貌を遂げた職業として評価しており、また、

  • 人々の情報収集を助けるという考えが好き
  • 人々が物事に対する多角的な視点を得られるよう、客観的でいられる
  • 図書館員が人々にもっとも力を与える職業の1つであるという意識によりやる気を維持できる

という専門職としての適正に当てはまるのであれば、目指す価値のある職業であるとしています。

なるほど、米国の図書館員と話をしてても、給料は低くてもこの仕事が好きなのよ、と鼻歌を歌う人がよくいるので、けっこう的を得た解説である気がします。
 
実際、職人気質のいい仕事だと思います。もっと求人が増えるといいですね。
 
ランキング中気になるのが、ファンドレイザー(資金調達の専門職)です。米国の図書館ではファンドレイザーのポジションを設置していることが多く、彼ら・彼女らは寄付やグラントの獲得などを通じた資金調達において重要な役割を果たしていますが、トップ30の職業の中で唯一全ての項目においてAレベルとなっており、客観的にも主観的にもなかなかいい仕事と評価されていることがうかがえます。
 
参考
U.S.Newsの“Best Careers”2008年版にも図書館員が選ばれる(カレントアウェアネス-R)
http://current.ndl.go.jp/node/7166
 
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シアトル公共図書館の全分館を走って周ろうとしたツワモノの話

シアトル公共図書館が10年間を費やしてきたリニューアルプロジェクト”Libraries for All”が2008年7月に終わり、その後9月に、プロジェクト終了を記念して、”Library Passport”という企画が始まりました。この企画は、改築された26の分館と本館のすべてを見てもらいたいとの狙いから行われたもので、全ての図書館を写真入りで紹介した記念パスポートを無料でプレゼントし、市民にスタンプラリーをしてもらうというものです。

12月、この企画をクールだ!と思い、全分館を1日で走って周ろうと企んだ男が現れました。雪などの理由のため予定を変更しましたが、それでも合計17館、50マイルを完走したそうです。
 
詳細はこちらから。
 
Marathoner runs 50 miles visiting 17 library branches in one day - in a snowstorm!
http://blog.webjunctionworks.org/index.php/2008/12/19/marathoner-runs-50-miles-visiting-17-library-branches-in-one-day-in-a-snowstorm/

ツワモノの名前はSam Thompsonさん。非営利団体に勤める28歳のウルトラマラソンランナーです。

トンプソンさんは、ある日、図書館パスポートの話を聞きつけ、"really cool"と思ったのだそうです。”図書館に通うのが好きです。図書館はすばらしい資源。僕の目標はみんなにわくわくしながら地域の図書館分館への訪問してもらうこと。(I love going to my library. It's such an incredible resource. My goal is to get people excited about visiting their local branch.)"と、このウルトラマラソンを敢行しました。

ところが、当日12月18日はあいにくの大雪。このためスケジュールよりも少し遅れてしまい、さらに分館が雪のために全ていつもよりもはやくに閉まってしまう事態になってしまいました。そこで予定を変更し、全部を周ることをあきらめ、さらに残りはスタンプのゲットをあきらめ証拠写真を撮るだけにしました。(彼のブログには雪の写真もアップされています。こりゃ無理です。)
 
結果、11館はスタンプをゲットしたものの、6館の分館はスナップ写真のみとなり、全部を周ることはできませんでした。それでも大雪のなか走破した距離は50マイル(80キロ)。ツワモノです。後日全てのスタンプをめでたくゲットしたようです。
 
参考
シアトル公共図書館、10年間のリニューアルプロジェクト“Libraries for All”が終了-建築デザイナーの記念講演も(CA-R)
http://current.ndl.go.jp/node/8809
 
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ワシントンD.C.公共図書館、図書館での居眠り規制を厳しく

ワシントンD.C.の公共図書館が、図書館での居眠りを禁止するルールと、かばん持ち込みを2つまでとするルールを提案しており、ワシントンポストライブラリージャーナルで取り上げられています。”誰にとっても居心地のよい空間”と”本来の目的で使われる”ことを目指す図書館の狙いに対して、ホームレス問題の活動家などから、ホームレスの人たちをターゲットにしたルールの強化ではないかと疑問の声が上がっています。

このルールに関する議論は綿々と続いてきているものですが、ワシントンポストに寄せられているコメントに気になるものがいくつかあったので、恣意的に織り交ぜて。

詳細はこちらから。

Comments on "Proposed Rules Would Ban Sleeping in Library"
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/12/28/AR2008122802176_Comments.html

Aさん。
DCPLでの居眠り禁止は新しい問題ではない。長年論議になってきたものだ。問題は、図書館員のどの程度がこのルールの適用に傾いているかだ。


Bさん。
図書館は居眠りする場所ではない。


Cさん。
私は他の大都市の図書館の図書館員です。私たちも居眠り全般に適用されるルールがあります(赤ちゃんの睡眠は例外です)。このルールにはいくつかの理由があります。1つめは、単なる居眠りなのか、ドラッグやアルコールのせいで意識がないのか、糖尿病性昏睡などの体調問題なのか、見分けるのは難しいことです。私たちはこのすべてに対処しなくてはならず、ドラッグの過剰摂取による死亡を確認したことも少なくとも1度ありました。2つめは、居眠りする人は自分の持ち物に注意を払い続けることができず、盗難にあうリスクが高いことです。私たちはバッグのサイズや持ち込むことのできるアイテムについてもルールがあり、これらは安全の観点から通路がふさがれないようするためです。これには車椅子やベビーカーには適用されませんが、バックパックやショッピングカート、自転車には適用されます。このようなアイテムを保管するためのロッカーがありましたが、ドラッグのドロップ場所として使われていることが発覚したので、撤去しなくてはなりませんでした。私たちは、ホームレスであろうとなかろうと、全ての利用者を歓迎します。私たちの目標は、安全で居心地のよいスペースを全ての人たちに提供することです。


Dさん。
図書館は私たちのもっとも重要な施設の1つ。彼らは、ブッシュ政権が絶対的に不適切な理由で市民をこそこそと調べる時代にあって、市民が十分な情報を利用したり娯楽に興じたりすることができるよう、価値のある-ある意味、英雄的な-機能を果たしている。
図書館は今の時代のもっとも偉大な英雄の1つ。彼らは個人の読書記録の提供に抵抗し、それに成功し続けている。
図書館はすべての人に開かれているけれど、でも寮ではない。疲れてしばらくの間居眠りすることもあるかもしれないし、赤ん坊はベビーカーの中で眠るものだろう。けれど、ホームレス問題と戦うものではない。その論争は国会や州議会、市議会の中で戦わされるべきである。図書館は図書館であらせてあげよう。図書館員、図書館職員の偉大な仕事に感謝。彼らは良くやっている。


日本では決して聞かれないコメントがたくさんです。それだけ社会も違い、図書館が果たしてきている役割も違うということでしょうか。
 

2009/01/04

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図書館のブッグバッグを持って世界を旅しよう


ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの図書館では、オリジナルのトートバッグをつくり、学生や教員を巻き込んだユニークなプロジェクトをやっています。旅行に行くときにトートバッグをもっていってもらい、世界のいろいろなところでトートバッグ入りの写真を撮ってもらい、それをブログで共有するというものです。

トートバッグはどこを旅したのでしょう。

詳細はこちらから。

The Book Bag Blog
http://ucdrsbookbagblog.blogspot.com/

ブログを見ると2007年の11月ごろに始まった企画のようです。

トートバッグのデザインは、学校のロゴ入りで、まぁ普通な感じです。でも、環境と人権を考え、児童就労による生産でないオーガニックコットンを使っています。丈夫で使いやすそうです。


学生や教員が写真を送ることができますが、ブログの掲載には、面白くて、普通じゃなくて、エキゾチックで、ホットなかんじであることが求められるそうで、その上、笑わせてくれるか、ジェラシーを感じさせるようなものでなくてはいけないという厳しい条件が課せられています。その年のベストショットに選ばれた人にはすばらしい景品が贈られるそうです。

まずはベタなところから、エッフェル塔。


ルーブルはおしゃれに。


ホワイトハウスでは鉄柵に引っ掛けられ。


スイスは牛の上に乗せられ。


エチオピアのゴンダールの城で風になびき。


バンコクのカオサンで灼熱にさらされ。


さらに南極では、耐久性を試されそのすばらしい品質を証明したようです。


トートバッグは、すでに世界の14%を旅したそうです。
 
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ホットドッグカートがレファレンスカウンター:ペンシルバニア州立大学

米国の大学図書館では、伝統的なレファレンスサービスのモデルにとらわれず、あの手この手でレファレンスサービスをアピールしようという試みが見られますが、Reference & User Service Quartelyの記事で、いかにもアメリカっぽいアピール活動の紹介が目に付いたので紹介。ペンシルバニア州立大学の図書館で、ホットドックの路上販売で使われるカートにノートパソコンを積んで、キャンパス内を移動し、レファレンスサービスを提供しているそうです。

詳細はこちらから。

The ASK Cart with the Library Dude!
http://www.libraries.psu.edu/psul/berks/the_ask_cart_with.html


(photo from the official website above)

この移動レファレンスサービスは、”ASK Cart”と名づけられており、ペンシルバニア州立大学のThun図書館のレファレンスライブラリアンのBillie Walker氏(”Library Dude”として知られている)などがはじめたものです。ホットドックのカートを転がしてキャンパス内を移動し、アウトドアでレファレンスサービスを提供しています。カートには無線LANでインターネットを使えるノートパソコンと、蛍光ペンやキャンディなどのグッズを積んで、その場その場で学生からの質問に答え、難しい質問にはオフィスに来るように案内しているそうです。実際図書館に図書館野郎を訪ねてくる学生も多く、レファレンスサービスのアピールにとても貢献しているとのことです。

ウェブサイトでは、”アスク・カートを見かけたら、挨拶してくれよ!”(when you see the ASK cart please give a shout-out to the Library Dude!)と、とても気さくな感じです。

せっかくなのでビリーさんにメールで詳細を質問してみました。ビリーさんの話を要約すると。。。

カートは全部で2台あり、1台は主にビリーさんが使い、もう1台は他の図書館員がみんなで使っています。どのくらいのレファレンス質問があったのかは、統計をとっていないのでわからないですが、”Ask Cart”はレファレンスというよりもプロモーションという意味において大きな成功で、生徒はリサーチクエスチョンがあるとわざわざビリーさんを訪ねて図書館に訪ねてくるようになりました。

ビリーさんの狙いもプロモーションで、図書館グッズなどのギブアウェイを配りながらやり、図書館に質問しにくるように話しかけます。寄せられる質問は簡単なものがほとんどですが、時々はまともなレファレンス質問がきて答えたり、またリサーチ・コンサルタントをセットアップしたりすることもあるそうです。

”Ask Cart”を営業するのは、春学期、秋学期の天気のよいときで、寒いこの時期はやっていません。キャンパスの規模が小さく、大学のどの建物も図書館からすぐのところにあるのも、この企画がうまくいっているひとつの要因だと考えられます。

使用しているホットドックカートは、All American Hot Dog社のもので、Googleで検索してぴんときたのを購入しました。ちなみに、購入費は、図書館長の予算から捻出されました。

スペックは(たぶん)こんな感じです。
Body: 20" wide x 30" long x 50" high
With wheels &handles: 28" wide x 36" long x 50" high
Pans: Two 1/3 pans; 20" x 30" x 12" storage
Bread Box: 20" x 13" x 6" enclosed (Replaced by water tank on our NSF model)
Drawer: 17" x 13" x 2.5"
Soda Cooler: 8" x 8" x 10"
Umbrella: Full size available.


ちなみに・・・
始めたころ、教員連中から、「テニュアは取れたのか?」とからかわれたりしましたが、めでたくテニュア(終身地位の保証)が取れたそうです。また大学の食べ物を管轄している部局の人がわざわざきて「キャンパスで食べ物をうってはいけない」といわれたこともあったそうです。(だからユーモアのセンスが必要だ、とアドバイスいただきました。)

ついでに・・・
もし日本で同僚にASK Cartの価値を説得するのにビリーさんの力が必要であれば、知らせてくれとのことでした。日本に是非行きたいそうです。