Twinsburg Public Library Annual Report 2007
詳細はこちらから。
Twinsburg Public Library
http://www.twinsburglibrary.org/newweb/
HAPLRランキングトップの実績
米国の全国規模の公共図書館統計の代表的なものとして、米国図書館協会公共図書館部会の公共図書館データサービス(Public Library Data Service: Statistical Report(PLDS))と、米国教育統計局の連邦・州共同システム(Federal-State Cooperative System(FSCS))という2種類があります。比較的支持されているのは前者PLDSのほうで、後者FSCSのほうは、データの項目立てが古い、更新速度が低い、などの批判があり、今後の改善が期待されるものです。しかし、貸出冊数、蔵書冊数、回転率、レファレンス件数、職員数などの伝統的な項目については、信頼できる情報源であることは間違いありません。
このFSCSをベースにして、図書館のサービスの現状を統計数値で固く比較し、図書館のランク付けをしているものに、HAPLRというものがあります。これは、ウィスコンシン州ワウケシャ郡統合図書館システムのディレクター兼図書館コンサルタントのヘンネン(Thomas J. Hennen Jr.)氏が、1999年から行っているもので、毎年サービス対象人口の規模別にランキングを発表しています。
指標として使用しているのは、歳出額、資料購入費、フルタイム換算の職員数、雑誌、来館者数、回転率、レファレンス件数など15項目で、これらの項目を、左表に見られるような重み付けをして算出しています。ここには音楽や映画、相互貸借点数、インターネットサービス、コンピュータの台数など、比較的新しいサービスで、現状比較妥当性のある統計データが手に入らない項目は評価の対象になっていません(HAPLRの算出方法)。
トゥインズバーグ公共図書館は、このランキングの人口1万人規模の枠で、1999年1位、2000年8位、2001年4位、2002年2位、2004年1位、2005年2位、2006年1位、2008年1位と毎回トップランクに位置しています。
見学ツアー
館内をふらふらと歩いていると、ティーンサービスの担当の図書館員が話しかけてくれました。いろいろと雑談をしていると、「それだったら館長に見学ツアーをしてもらったらいいわ。」とオフィスに連れて行ってくださいました。あいにく館長は不在でしたが、代わりに副館長が館内を案内してくださいました。こういう柔軟な優しさは心にしみます。
さすが貸出において実績のある図書館であるだけに、館内のレイアウトや資料の見せ方などさすがです。入り口から正面にのびる通路の左側はすべて貸出カウンターになっており、存在感があります。また、DVDやCDなどの見せ方はショップのようで、このコーナーには常に人がたくさんいました。
カウンター。左側がカウンターで、右側がコンピュータールームです。
DVD/CDラック。ちなみに音楽・映像資料はHRPLRのランキングには影響しません。
育児資料コーナー。子供部屋を窓越しに覗くことのできます。妊婦さんなどに優しい感じのソファがおかれていました。
子供の遊び道具。プラスチック製のもので、おやとおもったのですが、近所にSTEP2やLittle Tikesが拠点を置いており、開館時に寄贈されたそうです。
暖炉スペース。大活字本コーナーのすぐ近くにあります。
児童サービス
トゥインズバーグは人口17000人ほどの町ですが、18歳以下の人口が全体の26,7%をしめます。公共図書館のすぐ近くに地元の高校が立地するなど、子供の利用が多いのが特徴です。このための図書館では2003年に児童コーナーを拡大し、児童サービスの充実を図っています。拡張して今の姿になっているため、少し奥まったところに完全に仕切られて設置されていますが、入り口を入っていくと子どもが元気に騒げそうな楽しげな空気の部屋になっていました。飾りつけなどは、図書館員やボランティアが一緒になってわいわいやっているそうです。
児童室のカウンター。
写真スライドショー
感想
この小さな町でこれだけの規模の図書館を持つことができること自体すごいことですが、それ以外にもランキングトップの秘密があるに違いないと、いろいろと観察したり、副館長さんや他の図書館員さんに質問してみたりしました。
・・・が、特別に目立つ理由は見えてきませんでした。
建物が新しくて愛らしいですし、空間設計は上手ですし、ディスプレイはわかりやすく丁寧ですし、図書館員はとてもフレンドリーですし、そういうことはもちろんあるのだと思うのですが、今まで見学してきた他の公共図書館にくらべて、特になにかずば抜けているという感じはせず、伝統的に言われてきているよい図書館のあり方を、1つ1つ丁寧に誠実に追求しているように感じました。逆に、この堅実さこそがこの図書館の強さなのかもしれません。
近隣の図書館の集会などでもよく使われるらしく、オハイオ州のよいモデルになっているそうです。
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