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2008/12/19

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Ningを使った会議運営:レファレンスルネッサンス

マーク・アンドリーセン氏がCTOを勤め、10月には50万のSNSが立ち上がったと報じられたNingですが、図書館界でもその試用が行われています。8月4-5日にコロラド州デンバー開催されたレファレンスサービスに関する会議”レファレンス・ルネッサンス:現在と未来のトレンド(A Reference Renaissance: Current and Future Trends)”で、私も初めてその活用事例を体験してきました。
 
詳細はこちらから。

A Reference Renaissance: Current and Future Trends
http://www.bcr.org/referencerenaissance/
 
会議は、BCR主催、ALAのレファレンス及び利用者サービス部会(RUSA)やTutor.comなどの協賛によって行われたもので、レファレンスサービスの現状把握とこれからあり方を考えるものでした。日本ではレファレンスサービスがこの数年ようやく盛り上がりを見せ始めているという状況ですが、米国では、まことしやかに「レファレンスの死」というフレーズが聞かれます。この風説にたいして、伝統的な電話、電子メール(すでに”伝統的”と!)、対面でのレファレンスサービスのほか、インスタントメッセージング(IM)、テキストメッセージング(SMS)、ブログ、Wiki、MySpaceやFacebookなどのSNS、Second Lifeなどでのバーチャルレファレンスデスク設置などの新しい動きを整理し、これからのサービスのあり方を模索しようというのが会議の趣旨でした。

参加者は、公共図書館員、大学・研究図書館員、学校図書館員、学術研究者など、様々な館種の図書館のレファレンスのプロの方々で、その数は500人を超える、この分野の会議としては大変大きな規模のものでした。会議は全体として、現在の、圧倒的多数の”アマチュア”による情報発信と、同じく圧倒的多数の”アマチュア”によるフィルタリングが情報社会をリードし始めた現状において、従来のいわゆる”レファレンスツール”に頼るレファレンスサービスは相対的に縮小し、人々のネットワーキングを促し、知恵を生み出す会話を促していくのがこれからのレファレンスサービスの役割になるのだ、という方向に議論が形成されているようでした。主催者側の思想がそういうものなので、そういう基調になったという印象もありましたが、ネットワーキングがレファレンスサービスの重要な要素になっているという認識は、少なくともこの会議では広く受け入れられていました。
 

Ningを使った会議運営


ネットワーキングをITを使って実現する昨今の流れを踏まえ、この会議でも、2007年2月にバージョンアップしサービスが安定してきたNingを活用し、専用のSNSを立ち上げ、参加者が技術に触れる機会を設けていました。会議の参加募集と同時に、参加者は自主的にNingに登録するように案内され、多くの人が”レファレンス・ルネッサンスSNS”にメンバー登録していきました。左のイメージが、SNSの画面キャプチャです。
 
右カラムのGoogleの広告の下に見えるKris Johnsonさんが、このSNSの発案者であり、作成者であり、管理人です。彼女の働きかけによって、様々な情報交換・共有が行われました。例えば、

  1. 地元デンバーの図書館員による現地観光情報の提供(左カラム中央部地図)
  2. ジョギング、ハイキング、サイクリング、食事会、ヨガなど、会議外の交流会の案内
    (高地トレーニングのメッカなので、ジョギングやハイキングにもそれなりの参加者があったようです。私は残念ながら参加できませんでした。)
  3. 会議参加者からのデンバー周辺の風景写真等の提供(左カラム上部)
    (私も飛行機の上から撮った写真を載せてみました。)


    Find more photos like this on Reference Renaissance Conference Online Community


  4. 会議に参加したブロガーが書いた記事の情報共有(中央カラム下部)
  5. 会議参加者のコンタクトインフォメーションや顔写真の共有
    (私も顔写真やコンタクトインフォメーション、日本人であることなどの情報を掲載してみました。会議中、他の日本人参加者から「昨夜SNSで検索して見つけて、探してたんですよ」とお話をいただいたり、メールを頂戴したりしました。)

などが行われていました。

会議中、他の参加者に聞いてみたところ、米国といえどもベテランのレファレンスライブラリアンの間ではSNSの利用はそれほど活発ではなく、今回のこの試みを通じてSNSの有効性を実感した人も少なからずいるようでした。また、この会議を機に、SNSを通じた”新しいレファレンスサービス”の実践を試みようと考えた人も少なからずいるようでした。

図書館界の会議でITの活用が前面に出てくると、技術の壁の前に多くの参加者が疎外感を感じてしまいがちですが、Ningを活用した会議参加者SNSは、参加者に技術への接触機会を提供し、議論の空論化を防いでいるように感じました。また多くの参加者が事前・事後に情報を共有し、会議の内容が何倍にも濃くなったように思いました。さらに、この会議という期間限定の閉じられたSNSは、参加者が気軽に積極的に参加しやすく、会議を通じたネットワーキングを活発化に成功しているように思いました。
 
Ningはすでに日本語化されているので、なにかの機会に試してみたいものです。
 
参考:
Ning
http://www.ning.com
SNS作成ツール「Ning」が登場(IT Media News)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0702/28/news022.html
 

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