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2009/01/28

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コロラドの公的幸福の中心、デンバー公共図書館:現地レポート

コロラド州のデンバー公共図書館は、ロサンゼルスとシカゴの間の地域において最大の規模を誇る図書館であり、また2001年に"Award of Excellence for Library Architecture"(図書館建築賞)も受賞するなど、建築の側面からも評価の高い図書館です。デンバーで行われたALA冬季大会終了後、このデンバー公共図書館を訪問してみました。
 
詳細はこちらから。
 
Denver Public Library
http://denverlibrary.org/
 

 
簡単に歴史
デンバー公共図書館は、John Cotton Dana賞で今なお歴史になお刻む図書館員ジョン・コットン・ディーナによってその歴史の幕を開けました。ディーナによりデンバー高校の一角に開設された公共図書館は、その後1910年にアンドリュー・カーネギーの資金提供により建て替えられました。このカーネギー図書館の建物は45年間使用されましたが、スペース不足が深刻となり、1956年にはカーネギー図書館の2倍の広さを誇る新しい図書館を建築しました。そのスペースもさらに小さくなり、1990年、9160万ドルの新図書館建設費用が予算化され、1995年に現在の建物が開館しました。
 
ディーナにより始められた”Center of Public Happiness”(公的幸福の中心)としての図書館は、着実に市民の生活に深くかかわり、地域の重要な公共機関として根付き、発展を遂げてきました。
 
荘厳
巨大な建築物が林立するダウンタウンの中心部に位置するため、概観の大きさをあまり意識することなく近づきましたが、飾り気のない裏手の入り口をくぐったとたんそこには、パブリックスペースである4階まで吹き抜けの荘厳なロビーが広がっていました。実際この建物は巨大で、540,000平方フィート(5万平米)の広さをほこり、地上7階のほか地下には閉架書庫があります。
 

 
ロビーを覗く通路側はすべて学習スペースとなっており、訪問した平日夕方の時間でもほとんど全ての座席が埋まっていました。
 

 
この巨大な図書館で、ここまで人がたくさんいるように感じられるのは、驚きでしたが、実際数値を確認して思わずうなづいてしまいました。レファレンスカウンターには行列ができ、500端末以上あるコンピュータも多くが埋まり、巨大な資料室は多くの市民で活気に満ちていました。(このあたり、写真がとれませんでした。)
 

(Denver Public Library のウェブサイトより)
 

 
無線は、図書館カードをもっていなくても無料でつかうことができます。ただ、登録が必要で、氏名、住所など必要な事項を登録する必要がありました。ピッツバーグの住所を登録したのですが、そういう利用者もおおいのか気になるところです。
 

 
連邦政府刊行物寄託図書館(FDLP)としての姿
 
デンバー公共図書館は、児童書、一般図書などの充実もさることながら、連邦政府刊行物寄託図書館の1つとして、重要な役割をになっています。連邦政府刊行物寄託図書館は、現在全米に1257館あり、そのうち51館は”地域寄託図書館”とよばれ、全ての政府刊行物を保有する特別な位置づけになっています。地域寄託図書館は、特定分野の資料のみを保有するその他の寄託図書館のバックアップを行う役割をになっています。この51館の多くは、大学図書館が指定されていますが、4館のみ公共図書館がになっているところがあります。そのひとつがデンバー公共図書館です。
 

("Regional Depository Libraries in the 21st Century: A Preliminary Assessment"より)
 
地域寄託図書館を見学するのは初めてでしたが、利用率が決して高いとはいえない政府刊行物を、広大なスペースに開架している姿勢に、デンバー公共図書館が寄託図書館として果たしてきた役割の大きさを実感することができました。
 

 

 
ただ・・・・。
 
他の政府刊行物寄託図書館と同様、デンバー公共図書館も、市民のニーズを評価し、有限なスペースの最適な利用方法を模索する中で、現在開架されている政府刊行物のほとんどを閉架書庫に移動させることを決定したそうで、このスペースに入り込むのは、すでに500台以上設置されていてもなお足りていないと評価されたコンピュータ端末だそうです。
 
このことを教えてくださったベテランの寄託図書館員は、すこしため息まじりでした。ネット時代にその位置づけを見直されつつある政府刊行物寄託図書館。その現場を垣間見た気がしました。
 
写真スライドショー

 
参考:
GPO、全米の連邦政府寄託図書館の現況調査報告書を公表(カレントアウェアネス-R)
http://current.ndl.go.jp/node/11576

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