イリノイ大学アーバナ・シャンパーン校の図書館情報学大学院の図書館が、物理的な施設としての図書館を閉鎖することを検討しているというニュースが流れています。ピッツバーグ大学の図書館情報学図書館も、決して利用が多いとはいえないですが、それでも学生の憩いの場として重要な役割を果たしています。
詳細はこちらから。
(写真は公式ウェブサイトより)
(写真は公式ウェブサイトより)
図書館情報学大学院の入学式には、かならず図書館情報学図書館の代表を勤めるエリザベス・マホニー教授がやってきて、図書館をどんどん使ってねとアピールします。1年ほど前の私たちの入学式のときにも、マホニー教授がやってきて、「今日はぜったいこれだけは覚えて帰ってね。図書館は大学院の建物の3階にある。私の名前はエリザベス・マホニー。あなたたちの図書館だから、どんな目的でもいいからどんどん使ってね。」と、とても手短く、でも決して忘れられないほどのインパクトある説明をしていきました。
マホニー教授の方針で、常に図書館には無料のコーヒーが保温ポットにいれられていて、学生はいつでも自由に飲みにいけます。もちろん紙コップや砂糖・クリームも置かれているし、ときにはあめちゃんやりんごやビスケットが置かれていることもあります。入り口を入ってすぐのところのソファースペースでは、飲食もOKで、学生たちは、授業の待ち時間や、グループミーティングの合間にサンドイッチを食べたり、ドライフルーツや生にんじんをかじったりしています。建物の中に研究室のある博士課程の学生も、ふらっとここにきてコーヒーをとって出て行くすがたをよく見かけられます。
図書館情報学大学院は8階建てのビルで、主に授業が行われるのは4階、5階、8階。事務も5階にあり、3階は普段まったく通らない場所です。もしそこに居心地の良い憩いの場があることを知らなければ、入り口も小さく外からは見えにくく、多くの学生がまったく立ち寄らなくなりそうな図書館です。実際、電子ジャーナルの充実しているピッツバーグ大学では授業の資料もほぼオンラインで入手でき、紙媒体で必要なものはむしろ他分野の資料でありほかの図書館を利用するため、この図書館におかれている紙資料を利用する重要度はあまり高くないので、マホニー教授にもその危機感はあるようです。
ところがこの図書館は、いけば必ずというほどマホニー教授やフレンドリーな図書館情報学の院生バイトの司書がいて、入っていくと、「はーい」と声をかけてくれ、そして時には、「コーヒー、今入ったところだよ」などと教えてくれたりします。
図書館に、オンラインではなかなか見つけにくい資料があるのはもちろんのこと。学生はコーヒーを片手にふらりと書架にいき、何冊かの本や雑誌をピックアップし、ソファに寝転びそれを読む。そんな風景をみていると、居心地のよさが呼び水になって、学生は貴い資料に出会っていっているのだなと感じます。
私にとっては、京都で通った大学の司書課程資料室もこんな感じだったので、新鮮というよりは懐かしい感じです。学生が勉強にのめりこむのは、こういう空間との出会いがきっかけになったりするものだと、私は思っています。足元の物理的空間の重要性を感じることができずに図書館情報学大学院を卒業し図書館運営に関わっていく学生がいるとすれば、それはなんだか悲しいですね。
(写真追加予定)
参考:
E871 - 米国を代表する図書館情報学大学院の図書館,施設の閉鎖を検討(CA-E)
http://current.ndl.go.jp/e871
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