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2009/01/27
ALA冬季大会2009:Innovative社のライス・メイジャー氏の話を聞いてきた
Encoreの開発を行い注目を集めるInnovative社ですが、その製品の1つContent Proのプロダクト・マネージャーのプレゼンを聞いてきました。プレゼンのタイトルは、"Digitization and harvesting : promoting your local collection"。さすが注目企業の1つとあって、50席ほどの席はかなりうまっていました。内容は、公共図書館や大学図書館が行っている地域資料、特別コレクションの電子コレクションのプレゼンスをいかにたかめるかという話でした。(The Photo from "What's Brewing")
詳細はこちらから。
利用のフローに置こう
最近、ピッツバーグ公共図書館のEncoreのインターフェースを見ていて感じていたのは、デジタルコレクションのプレゼンスが非常に高いことでした。実はここには、Innovative社の戦略があり、Content Proによる地域コレクションデジタル化の促進を進めること、さらにそのデータをOAI-PMHで吸い上げ、統合検索をすることを可能にすること、そしてそれらを図書館の検索ボックスから検索可能にすることで、利用者が、図書館の蔵書に加えて豊かな電子図書館コンテンツを特別な知識なく入手できるようにすること、が狙いとなっています。
確かに米国の公共図書館では、電子図書館を構築する動きが、大きな図書館にとどまらず、小さな図書館でも盛んになってきており、それを支援するContent Proのようなソフトウェアも普及してきています。これらの図書館にとっての次なる課題は、せっかく作ったそれらのコンテンツが有効に活用されることです。もちろんメタデータの仕組みを整えたり、SEOを行うことも考えられますが、それだけではまだ、調べ物をしている本来のターゲットに届くとはいえません。そこに目をつけているのがInnovative社の戦略といえると思います。電子図書館コンテンツを、利用者の利用の流れの中においてあげること。とても正論であると思います。
メイジャー氏は、例として、例えばA図書館でリンカーンのコンテンツをもっている、B図書館も、C図書館ももっている、このようなときに、それらを統合してA図書館、B図書館、C図書館のすべての図書館の”OPAC”(もはやOPACのカタログの概念がメタデータの世界にまでひろがっていますが。。)から検索できるようになれば、みんなハッピーだよね、と説明していました。確かに、坂本竜馬の特別コレクションのデジタルデータが、OPACから図書館蔵書とともに簡単に統合検索できたら便利です。
また、メイジャー氏は、コンテンツのプレゼンスをより高め、さらに利用者との能動的な関係を築いていくためにも、ソーシャルタギングの仕組みが重要になることも説いていました。説明では米国議会図書館が行ったFlickrプロジェクトを引き合いに出し、米国議会図書館がユーザーとここまで活発な関係をもったことはいまだかつてなく、タグのクオリティ以上に、このパブリック・リレーションの成功はもっと評価されてよいものであるとし、同じソーシャルタギングの仕組みをもつEncoreの必然性を説明していました。
思ったこと
図書館は昔、市民が情報を入手する最大の情報源でした。情報の所在のモデルは、図書館が中心にあり、そこに市民が集まるというイメージでした。それが、出版文化の発展、書店の充実、さらにはインターネットの登場にいたる、様々な要因で、いつのまにやら、図書館は市民が情報を入手する小さな1つの手段にしか過ぎなくなりました。モデルは、利用者が中心になり、利用者が好みの情報源にあたるというものに変わりました。その中で、この10年ほどの間、図書館は、どう”本”を読ませるのかに苦心し、OPAC開発はある種の閉塞感、あるいは限界の意識があったような気がします。
ライス・メイジャー氏のプレゼンを聞いてみて、米国の図書館のOPACは、図書館が自分たちの所蔵している図書館資料の所在を特定させるための道具ではなく、利用者が探したいと思う全ての情報を見つけることを手伝う検索インターフェースになるよう、目的を変えてきているのだと感じました。
利用者は、図書館にいけば、あるいは図書館の”OPAC”にいけば、そこから学校の課題に必要な情報、レポートの作成に必要な情報、その他様々な目的にあった情報が、媒体の別に関係なく引き出せる。そんなものを米国の公共図書館は要求していて、それにむけて各社開発競争にしのぎを削っているのかもしれません。今、次世代OPACと呼ばれているPrimoもしかり、AquaBrowserもしかり。いずれもファセット検索がいい突破口になっていますね。
雑感ですが。
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