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2009/01/25

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ネブラスカプレーリーのカーネイ公共図書館:現地レポート

ミシシッピー川から西へわたるとそこから延々と広がるグレートプレーンズ。その中でも南部のネブラスカ州にかかる部分は、ネブラスカプレーリーと呼ばれ、冬には厳しい寒さと時には突風を伴う北風吹き荒れる地域です。昔のルームメイトで今はロシアに飛び立ったグレアムくんがネブラスカ州出身だったので、一度は見ておかねばとおもっていたのですが、叶えることができました。

ネブラスカ州の南側を東西に抜ける国道80号(I-80)沿いの街カーネイに滞在したところ、宿泊したホテルから車で3分ほどのところに公共図書館があったので、せっかくなので訪問してみました。

詳細はこちらから。

Kearney Public Library
http://cityofkearney.org/


 
カーネイは人口27,000人ほどの町ですが、ネブラスカ大学とグッド・サマリタン病院(Good Samaritan Hospital)などの雇用が大きく、人口が増えています。こじんまりとした街ですが、街中もあかるく、建設中の建物も多くみられ、再発展の途上にあるという印象でした。人口構成は非ヒスパニックの白人が95%以上と圧倒的多数を占めています。
 
この図書館で印象的だったのは、2階に系譜学の専門資料室があることでした。西部開拓によって設立されたこのあたりの町では、歴史に対する特別な想いあり、このような立派な資料室があるとのことでした。古い歴史資料だけでなく、1階のレファレンスコーナーのコンピュータ端末には、系譜学の調査に役立つAncestry.comなどのデータベースが提供されていました。
 



 
訪問した時間は金曜日の開館直後の朝9時過ぎだったのですが、2階のイベントルームには多くの親子が集まってきていました。聞くと、ネブラスカ州で有名なストーリーテラーを招いてのお話会があるとのこと。私もしばらく待って参加してみました。話し手は、Bobby Norfolkというセントルイス出身のひと。スタンドアップコメディアンとして地域のクラブでのパフォーマンスで人気となり、その後ストリーテラーに転身した人で、表情豊かで躍動感あふれたパフォーマンスが特徴だとのことでした。
 
実際、私も、こんなにも激しく飛び跳ねたり踊ったり歌ったり手拍子したりするストーリーテラーの人をはじめてみました。声も表情もストーリーもすばらしく、子供たちもお母さんたちも図書館員たちも大興奮の様子でした。コメディ文化なら負けていない日本のコメディアン方、図書館でストーリーテラーとしてパフォーマンスを試みたらいかがなものでしょ。。とおもいました。
 

 
写真スライドショー


 
出会いとちょこっと感想

例によって撮影許可をとろうとカウンターで訊ねると、チェリル(Cheryl)さんというスーパーバイザーの方がいらして、いろいろとお話してくださいました。撮影中もすれちがうと声をかけてくれたりと、素敵な笑顔で応対してくださいました。図書館はやっぱり人だと感じさせられた、ネブラスカプレーリーの小さな町の図書館でした。
 
雑談
 
図書館を出て、車を動かし始めると、すぐに雪が舞い始めました。この日は氷点下6度くらいだったので、湿り気もなく発泡スチロールのように軽い雪が道路を覆い、車の風で雪煙が立ちまったく視界がなくなってしまうような、運転がちょと難しい状態になりました。わずか100キロほどの間に、トラックの横転と自家用車の横転を通りすぎ、低速運転に徹しました。ネブラスカの自然はキビシイ。
 
そんな雪の中白い雪をかぶって頭をたれて草を食んでいるネブラスカ牛たちが、寒そうでした。ネブラスカ州出身の元ルームメイトがネブラスカ牛のうまさについて語っていたのを思い出しながら、なるほど彼らがおいしいステーキになるのね。。と、思いました。
 

 
(若干追記予定)
 

2009/01/22

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イリノイ州で一番古い公共図書館、ロックアイランド公共図書館:現地レポート

デンバーで開催されるALA冬季大会への道。今回はまだ見ぬシカゴをスルーして、イリノイ州で一番最初に開館した、ということになっている、ロックアイランド公共図書館を訪問しました。
 
詳細はこちらから。
 
Rock Island Public Library
http://ripl.lib.il.us/



ロックアイランドは、ミシシッピ川中流域の町。この地域には、ミシシッピ川をはさんで、南側にイリノイ州のロックアイランドとモリーン、北側にアイオア州のダベンポート、ベッテンドーフがあり、全体をクワッド・シティと呼んでいます。
 
寒い寒いこの季節、ミシシッピ川も厚い氷で閉ざされていました。
 
 

 

 
ロックアイランドは、1850年代に川向いで産業も文化も発展を遂げたダベンポートと競争するように、図書館作りの声があがり、その後紆余曲折を経て、1872年11月25日、イリノイ州で最初の公共図書館として”開館”しました。この時期イリノイ州全体で図書館設立が相次いで行われており、図書館の理事会を最初に設置したシカゴ、図書館を最初に”設立”したエルギンをはじめ、セントルイス、モリーン、オレゴンなどが、イリノイ州の法制度のもと、競って図書館設立を進めていました。その中で最初に開館にこぎつけたのがロックアイランド公共図書館でした。
 
1872年11月25日の開館とともに、うら若きエレン・ゲイルが図書館長のポジションにつきました。彼女は、その職を退く1937年まで実に64年間、開館時の資料構築、70年代後半のデューイ十進法の導入などの基礎がために始まり、世界恐慌の時代にも最良の資料を市民に提供するために、この職で尽力し続けました。
 

 
入り口正面に、現在の経済危機の中、大統領としての職務をいよいよスタートさせたオバマ氏のコーナーがあるのが、印象的でした。アメリカの多くの公共図書館でみられるコーナーですが、エレン・ゲイルの意思を静かに引き継ぐ図書館員が選び、ディスプレイしたのだと思うと、特別な意味があるように感じてしまいます。
  

 
未来を生きる子供たちの使う児童室は地下1階にあります。地下1階といっても、この図書館は斜面にたっているので、あかるい窓から光が入り、ライブラリアン手作りのディスプレイで飾られたたのしい雰囲気たっぷりの児童室です。たのしくたくさんお話をしてくれたので、記念に写真を撮らせていただきました。13年この部屋を担当し、今の部屋の選書から飾り付けまで、1人で切り盛りしてきたそうです。カウンターの右下に返却ボックスがあり、節約した時間分子供たちと会話を楽しんでいるそうです。
 

 

 

(右手前に見えるの教育用コンピュータゲーム。貸出し用) 
 
ミシガン川のほとりの北の大地の図書館。あたたかい図書館員に支えられ、ゆったりと進化しているように感じました。
 
写真スライドショー
 

 

2009/01/16

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ピッツバーグ公共図書館のOPAC、”Encore”へ

ピッツバーグの公共図書館(Carnegie Library of Pittsburgh)が、検索インターフェースにInnovative社のEncoreを採用し、先日、新システムへの切り替えを行いました。Encoreのファセット検索、タグ、スペルチェック機能、表紙画像のサムネイルの表示などが使えるようになったほか、従来のOPACからは直接つながっていなかった"Access Pennsylvania"、一部の外部サイト(Medline Plusなど)へも接続されるなど、利用者の資料の発見・入手が、また一歩便利になったようです。
 
プレスリリースなども出ておらず、たまたま資料を検索していて気がついたので、おやっと思ってライブラリアンに聞いたところつい2,3日前に切り替えが行われたそうで、「私も今慣れようとしているところ」だとのことでした。
 
詳細はこちらから。
 
Carnegie Library of Pittsburgh
http://www.carnegielibrary.org/ 
 
トップページのGoogleチックなシンプルな検索ボックスに検索語を入れて"Go"をクリックすると、検索結果が出てきます。キャプチャーは、あまりいい例ではありませんが、政府印刷局(GPO)出版の"congressional pictorial directory"の検索結果画面です。
 

 
画面の左カラムには、ファセットとして以下の項目がたっています。(画面はCLPのウェブサイトより)

  • Search Found In: 検索語がデータベースのデータベースのどこにヒットして表示されたのかがわかる。著者名(Author)、タイトル(Title)、主題(Subject)、タグ(Community Tags)の4つが表示されるので、自分がタイトルのつもりで検索語を入れたのであれば、”タイトル”を、主題やキーワードのつもりで入れたのであれば、”主題”や”タグ”をクリックし、検索件数を絞ることができる。
  • Format:利用したい資料の媒体が選べる。印刷資料、電子資料、CD、ビデオなど。
  • Collection:CLPのどこの図書館に入っているかを選ぶ。本館や分館の名前がアルファベット順にならぶので、近くのアクセスポイントを選ぶ。
  • Location:Collectionと重複している気がするが、これもどこの図書館にあるのかを選べる。ヒット件数の多い順に並んでいる。
  • Language:資料が書かれている言語を選ぶ。
  • Date:出版された年を選ぶ。

 
中央カラムには、検索結果が関連性の強さの順に表示されます。どういう仕組みか正確にはわかっていなのですが、一番上に電子版の"congressional pictorial directory"が表示され、クリックするとGPO ACCESSに飛びます。以下CLPの所蔵資料が並びます。私の探していた版はありませんでした。
 
右カラムの一番上にあるのが、"Access Pennsylvania" へのリンクで、”26”という数字が表示されているので、ペンシルバニア州内のどこかの図書館がこの資料をもっていることがわかります。この場合はCLPの所蔵している版が限られているので、他の図書館も見る価値があります。Show(26)のリンクをクリックしてみると、"Access Pennsylvania"のシステムに検索語を継承したまま飛び、ほしかった資料を発見。

ほしい資料の所在がわかったのに加えて、今まで使ったことのなかった総合目録/相互貸借システムからみつけたので、うれしさ倍増。ちなみにこの総合目録システムは、ペンシルバニア州内の大学、公共、学校図書館などの3000以上の目録データベースの総合目録で、合計1680万タイトル、7090万点の資料が検索できます。


(Image from Access Pennsylvania website)

まだ、セッション切れの時間が短かったり、外部データベースへの接続が遅かったり、デザインの統一感にかけていたりする気がして、調整中という印象があります。これらのあらがとれて、図書館員や利用者によって付けられるタグの量が増えていくとまた使い勝手が若干変わってくると思うので、成長が楽しみなところです。
 
参考:
Innovative社の次世代OPAC"Encore"導入館(カレントアウェアネス-R)
http://current.ndl.go.jp/node/9623
 

2009/01/15

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活字を読む街ランキング2008


ピッツバーグにいて、アメリカ人というのは本当によく読みよくしゃべる人たちだなぁと時々感じますが、活字の利用度に関する調査で、ピッツバーグは今年もランキングの上位(13位)にランクインしていました。
 
詳細はこちらから。
 
America's Most Literate Cities 2008
http://www.ccsu.edu/AMLC08/overview.htm
 
この調査は、セントラルコネチカット州立大学のJohn W. Miller博士が毎年、人口25万以上の都市を対象に行っている調査で、書店、教育水準、インターネット、図書館、新聞、出版の6つの分野の統計データから導き出しています。2008年版では71市が対象となっています。またそれぞれの指標は、それぞれ単位人口あたりの以下の数値に基づいています。

  • 書店:小売書店軒数、古本屋軒数、全米小売書店協会の会員数
  • 教育水準:高卒以上の人口、大卒以上の人口
  • インターネット:ネットでの書籍購入件数、市の新聞サイトのユニークユーザ数およびページビュー件数
  • 図書館:図書館(建物としての)件数、所蔵数、貸出数、専門職数
  • 新聞:日刊紙発行部数、日曜版発行部数
  • 出版:人口10万あたり発行部数2500以上の雑誌出版社数、人口10万あたり発行部数500以上の雑誌数

 
総合ランキングでは、毎年争っているミネアポリスとシアトルが同率首位、続いてワシントンD.C.、セントポール、サンフランシスコ、アトランタ、デンバーなどが入り、ピッツバーグは12位、なにかとライバルのクリーブランドは13位となっています。
 


図書館があれば本も新聞も売れる(?)

 
新聞の発行部数が減ってきているのはインターネットで新聞が読めるようになったからだ、とか、無料で本を貸し出す図書館があるから本が売れない、とか、日本でもよく聞かれる言説が米国でも聞かれます。これらについてミラー氏は、この調査においては、インターネットと新聞、書店と図書館の指標において正の相関関係が確認されることから、「これらの社会通念は誤りである」("And in all cases, the conventional wisdom is wrong.")とコメントしています。
 
相関関係があるだけなので、「良い図書館がたくさんあってインターネットサービスも充実していれば本も新聞も売れる」とは必ずしもいえないかもしれませんが、米国の図書館がどんどんサービスを充実させるのには十分な理由になりそうです。
 

図書館の指標でのトップはクリーブランド


図書館の指標だけを抜き出してみると、トップはオハイオ州クリーブランドで、ピッツバーグは10位になります。クリーブランドは教育水準の指標において68位で下から3番目、それに対して図書館がトップと、とてもバランスがいびつな感じがします。この2つの市をレーダーチャートにすると、なんとなく形が似ています。やっぱりなにかとライバル・・・。
 

 
参考:
米国で最もリテラシーの高い/図書館資源が充実した都市は?(2007年版、カレントアウェアネス-Rより)
http://current.ndl.go.jp/node/7083
 

2009/01/13

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オーストラリアの図書館ネットワークUNILINKがPrimoを採用

約20のオーストラリアの大学図書館、研究図書館等が参加する図書館協力ネットワークであるUNILINCが ExLibris社の統合検索システム("次世代OPAC")であるPrimoを採用したと、Ex Libris社からプレスリリースが出ています。
 
詳細はこちらから。
 
Jerusalem, Israel – January 13, 2009
The UNILINC Library Network in Australia Selects Primo by Ex Libris
http://www.exlibrisgroup.com/?catid={916AFF5B-CA4A-48FD-AD54-9AD2ADADEB88}&itemid={10E08E42-A5AD-4EE4-A865-FECF3BFDA619}

UNILINCは、従来より統合図書館システムを共同利用しており、そのシステムとして、Ex Libris社のAleph統合図書館システムMetaLibポータルシステムDigiToolデジタル資料管理システムVerde電子資料管理システムを使用してきました。さらに今回利用者インターフェースとしても同社のPrimoを採用することになったとのことです。
 
 
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数値でみる米国図書館の新館建築・増改築の推移と傾向

毎年数多くの図書館が建設される米国ですが、経済の冷え込みが明らかになった2008年度も、総じてみると、図書館建築にはその影響が現れていないようです。公共・大学図書館あわせて213館の新築・増改築が行われました。
 
詳細はこちらから。
 
Library Buildings 2008: Keeping the ''ECO'' in Economy
Public and academic buildings combine for 213 projects in 2008
http://www.libraryjournal.com/article/CA6618892.html

2007年7月1日から2008年6月末日までに完了した新館建築あるいは増改築のプロジェクトの総件数は、合計213件となっています。このうち公共図書館は183件、大学図書館は30件となっています。

公共図書館についてみてみると、過去6年間の建築・増改築件数は、大きな変化は見られず、安定して180件前後となっており、また金額についても、新館の費用は7億ドル、増改築の費用は3億ドル前後となっています。2008年度は、これらを若干上回る値になっています。

(LJのデータをもとに作成)

米国の図書館建築においては、環境を考慮したグリーンアーキテクチャーの傾向はすでに定着している感がありますが、本年度の調査では、設計に影響を及ぼした”持続可能性”の要素などについてたずねており、再生技術が向上している粘土瓦や、エネルギー消費を抑える採光窓の導入、水の再利用などを取り組んだ建築が行われていることを確認しています。
 
Library Journal誌では、2008年度の大学図書館の新館建築および増改築公共図書館の新館建設および増改築の、個別の数値データを確認することができます。ちなみに、この数値を通じて図書館建築の動向を見守るこのLibrary Jounal誌の特集は30年続いているそうです。
 

2009/01/11

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図書館が関わるSNSはFacebookだけにとどまらない

先日数年後にはソーシャルネットワークが電子メールにかわってオンラインコミュニケーション手段になるという話をきき、アメリカチックだとおもいましたが、それをどう思うかは別としてソーシャルネットワークは拡大を続けています。Facebookやhi5、MySpace、Beboなどのメジャーなソーシャルネットワークにとどまらず、様々なコミュニティーで様々なオンラインソーシャルネットワークが使われるようになってきていています。教育分野のEduSpace、ビジネス分野のLinked-In、LGBTグループのOUTeverywhere、宗教分野のMychurchなどのほか、NingなどをベースにもっとニッチなSNSがどんどん生まれています(リスト)。SNSに積極に関わっている米国の図書館ですが、Facebookなどのメジャーどころはともかくとして、図書館がそれ以外のSNSのどこにどのように関わっていっているのか、もはやつかめない感じがします。
 
そんな図書館界が関わるSNSの世界をウォッチしているGerry McKiernan氏が、Internet Librarian 2008で使用したプレゼンテーションファイルの改訂版を公開しています。204スライドの大部のもので、多くの画面キャプチャが入っています。
 
詳細はこちらから。

http://onlinesocialnetworks.blogspot.com/2008/11/not-just-facebook-online-social.html

前半89スライドはざくっとしたバックグラウンドとFacebookのレビュー、後半はニッチなオンラインソーシャルネットワークの説明になっています。せっかくなのでニッチな世界での活動の具体例がもっと入っているといいなとおもいますが、Facebookなどでの活動の一端は垣間見れます。
 
ダウンロード → http://www.public.iastate.edu/~gerrymck/IL2008-DC.ppt
 
多くの大学が”キャンパス”を開設しているSecond Lifeの図書館の活動なども少しだけ紹介されています。
 

 

 
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”顔”としてのピッツバーグ公共図書館ファーストフロア:現地レポート

どこの図書館もすくなからず図書館の顔となる部分があります。入り口を入ってすぐのところなど、人の流れが集まる場所には、季節の特集を組んでみたり、時事問題に関する本を集めてみたり、社会問題を考えるコーナーをつくってみたりします。整然と分類されて配架されている蔵書を眺めるのとは別に、その図書館の姿勢やメッセージが詰め込まれたコーナーを見るのは、ひとつ面白い作業です。ピッツバーグ公共図書館本館の1階”First Floor - New & Featured”は、一連のキャピタルキャンペーンで得た資金を最初に投入して改築された部分であり、いわば、ピッツバーグ公共図書館システム全体の顔であることを宣言して作られた場所です。
 
この図書館の顔が語るものとはなにか。このコーナーに背景知識なしにくる多くの利用者には、どのように映るのでしょうか。
 
詳細はこちらから。
 
Carnegie Library of Pittsburgh "First Floor - New & Featured"
http://www.carnegielibrary.org/locations/firstfloor/
 
ピッツバーグ公共図書館(Carnegie Library of Pittsburgh)本館1階を入り口から入る(フロアマップの下部)と廊下があり、そこから進んでいくと、"New & Feature"のコーナーがあります。1階全体には、カフェ(クレイジー・モカ)、ティーンコーナー、閲覧室、館長室、会議室などがあり、それらにぐるりと取り囲まれるように、一等地の広いスペースに新刊・特集("New & Feature")コーナーがあります。”閲覧室”は特に仕切りがあったりするわけではなく、ソファーがおかれ、資料はノンフィクション、料理本、旅行ガイドのみが置かれています。このフロアは全体的に飲食が自由で、クレイジーモカでコーヒーとビスコッティ(ここのはとてもオイシイ)をかってテクテク閲覧室に歩いていき、そこで本を読みながら飲食するという利用者が多くみられます。
 
開架書庫はこれらのスペースの裏手側にひろがっていて、利用者は子供も大人も自由に立ち入りできるようになっています。館全体の蔵書の分類は、特に古い資料はデューイ十進分類法(DDC)ですが、米国議会図書館分類表(LCC)をつかっています。特徴的なのは、そのほとんど全てが、開架書庫に入っており、明るい閲覧室におかれる読み物系の本は、1階の新刊・特集コーナーと閲覧室に限定されるということです。
 

 
このコーナー(上図中ピンクの部分)に置かれているのは、まずは、新刊とベストセラーです。これは書店モデルの図書館には多く見られるレイアウトです。このコーナーの本は、ペンシルバニア州のBrodart(McNaughton Book Service)社からレンタルで借りてきている本で、定期的に入れ替わっていく仕組みになっています。平積みしてあったりと、1タイトルあたり複本を10冊程度取り揃えています。



新刊・ベストセラーコーナーを取り囲むように、一般的なライトノベルが置かれ、それに続いて”African American"文学のコーナーが大きなスペースをとっています。個人的な印象ですが、ピッツバーグは比較的人種が交じり合うことなく分断してコミュニティを作っています。本館のあるオークランド地区はピッツバーグ大学とカーネギー大学がある学生街なので完全に混じっていますが、全体としてみると、特にアフリカ系の人たちはかなりかっちりとコミュニティの境界があります。もちろんそれが良い悪いということでは決してなく、特徴や文化や生活が固有のまま存続してきているという印象です。言葉も表現も文体もことなるアフリカンアメリカン文学へのニーズはあり、それに基づき図書館もこのカテゴリーをフィーチャーしています。


そのすぐ奥の書架は、GLBTのコーナーになっています。GLBTとは、ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーの略です。このコーナーにはGLBTをテーマとする小説が集められ、フィーチャーされています。


さらにその隣の書架には、多言語の小説が置かれ、アラビア語、中国語、韓国語、そして日本語などの小説などが集められています。留学生に多く利用されているようです。

その横の壁際には、インスピレーショナル・フィクションと分類される本のコーナーがあります。宗教的教義に基づいた小説などが主におかれています。

 

 
ファーストフロア・ライブラリアンの説明によると、これらの資料は、ある程度まとまったニーズが、ある程度きまったコミュニティから寄せられるこれらの資料群ですが、LCCに基づき分類すると分散してしまうので、これらを集め、積極的にフィーチャーしているのだそうです。
 
キャピタルキャンペーンの期間中、ピッツバーグ公共図書館の目指す方向性を体現した姿として積極的にその特徴をアピールされたファーストフロア。無作為を追求するのとは異なる、この、より明確に”顔”を出していく姿勢は、利用者にどのようなメッセージを伝えたのか、日本人の私にはまだまだつかみきれない感じがしています。
 

2009/01/10

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ワシントンD.C.公共図書館の蔵書がiPhone専用アプリから検索可能に

米国に来てからすっかり携帯電話依存症から開放されほっとしていますが、そんな中、iPhoneからワシントンD.C.公共図書館の蔵書検索ができるようになったというニュースを読みました。(左の画像はThe 56 Geeks Projectより。)

同窓生が携帯OPACの開発をがんばっていたのを懐かしく思いつつ。
 
詳細はこちらから。
 
DCPL iPhone application ready for download (Walking Paper)
http://www.walkingpaper.org/1100
 
ダウンロード→ here

現バージョンでは、利用者は、

  • 蔵書を検索する
  • 表紙カバーをみる
  • サマリーを読む
  • ピックアップできる場所をみつける
  • 開館時間や場所や電話番号などをチェックする

ことができるそうです。


 

 
このアプリはワシントンD.C.公共図書館のCIOのChris Tonjes氏が集めた研究スタッフのチームがつくり、コードも近々公開するそうです。意見・感想受付中だそうです。
 
ちなみに、Chris Tonjes氏の自己紹介によると東京で働いていた経歴もあるようです。
 

2009/01/09

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ピッツバーグ大学の政府刊行物コレクションコーナーの写真を撮ってみた

学期初めの零下5度の夜、利用者もいないだろうと見込んで、政府刊行物寄託図書館であるピッツバーグ大学ヒルマン図書館の政府刊行物コレクションコーナーの写真を撮りに行ってみました。
 
詳細はこちらから。
 
Hillman Library Government Publication Collection
http://www.library.pitt.edu/libraries/govdocs/govdocs.html



政府刊行物コーナーは、グランドフロアの入り口を入ったカウンターの裏の奥まったところにあります。広いオープンスペースがあるこのコーナーは、普段は学生に人気の学習スペースで、政府刊行物に囲まれているせいか、なぜか静かに勉強する学生があつまります。この日はさすがに閑散としてました。
 


政府刊行物は、電動式集密書架に収められていて、書架には”U.S. Government Publications”のサインがはられています。この電動式集蜜書架、本来の床の上に導入されていて、つくりが柔いのか、通路を歩くと床が気持ち悪いきしみ方をして、三半規管の弱い私はすぐに気持ち悪くなります。


ところどころに政府刊行物寄託図書館のマークが張り出されています。


政府刊行物は"SuDoc"(The Superintendent of Government call number)と呼ばれる請求記号が割り振られ、これに基づいて配架されています。独特なので、解説が書架に張り出されています。


ちなみに、主な政府省庁の略号はこんな感じです。


From "Understanding the Superintendent of Documents (SuDoc) Call Number system for U.S.Government Publlications"

司法、行政、立法の機関のほかに、政府系の独立機関の出版物も対象となっており、たとえば国立公文書記録管理局(or 国立公文書館:NARA)にはAEという略号が割り振られています。AEのコーナーに入っていくと、クリントン政権、ブッシュ政権時代などにNARAから出版された刊行物が並んでいます。NARAは機密文書も保管する機関で、ブッシュ政権下でも論争があったところですので、この書架あたりのどこかが・・・。


一部の資料は寂しげに反対側の壁際にキャビネットに納められて眠っています。

 
(追記予定)