日本の公共図書館は「公立」であるけれど本当に「公共」になっているのか?という問いが時々議論になりますが、無線LANを通したり、携帯からアクセスできるOPACを提供したり、畳敷きの居間のようなコーナーを作ってみたり、真の「公共」であろうという思いはいろいろな形で表現できるのだろうと思います。
シカゴから200マイル、車で4時間ほどの距離にある、イリノイ州Ellisville。人口は86人。この町に、蔵書数3,500冊、広さ336平方フィートという、イリノイ州でおそらく最小と推測される「公共」図書館があるそうです。この小さな図書館、この5年間に大きな成長をとげたそうです。
詳細はこちらから。
Ellisville library smallest in state
http://www.cantondailyledger.com/articles/2008/12/06/news/news07.txt
この町で生まれ育ち、学校教師をしていたHelen Myersさんが、広さ140平方フィート(13㎡)の町の古い電話局を借り図書館を開いたのは1966年のこと。以来37年間ヘレンさんは寄付と自分のお金でこの図書館を1人で運営してきました。ところが2002年にこの建物が壊れてしまい、ヘレンさんは口座に貯めておいたこれまでの寄付金と自分のお金のうち8千ドル(80万円)を使って自分の土地の一角に新しい図書館を建てることにしました。この新しいエリスヴィレ図書館は2003年に開館し、広さはなんとこれまでの倍以上、336平方フィート(31㎡)になりました。
ヘレンさんの話は広まり、話を聞きつけたファースト・レディのローラ・ブッシュ氏も7冊の本と手紙を贈りました。ヘレンさんは手紙を額に入れ図書館の壁に飾り、本を貸出資料に加えましたが、意図的にローラ・ブッシュの名前は本に記さなかったそうです。「誰かが借り出したまま返さないかもしれないもの。」と。その後テレビの有名人や作家の未亡人などから幾ばくかの寄付を受け、図書館は5年経った今も開館しています。
開館時間は毎週土曜日朝9時から11時まで。利用者が2人くれば良い方。でもそれでいいそうです。なぜならこの小さな町では、みんなヘレンさんの居場所も電話番号も知っていて、いつでも行きたいと言ってくれれば開けられるからだそうです。延滞本もたくさんあり、中には1981年から返していない本もあるようですが、督促をする気はないそうで、「もう孫もいる人だから」いいそうです。でも子どもは3週間に2人くればいいほうで、図書館にはたくさんのいい本があるのに、子どもたちがテレビをみたりコンピュータをいじったりばかりしているのは、ちょっと悲しいそうです。
ヘレンさんは今82歳。
町の人口は、この1年で3人増えました。
エリスヴィレ「公共」図書館の話でした。
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2008/12/07
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